強弱感が入り混じり、決定的な材料に乏しくまちまちの展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年08月03日 15時55分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場はまちまち、外国人も株数ベースでは売り越し、金額ベースでは買い越し、日経平均は節目を抜けたもののTOPIXは11騰ながら抜け切れなかったことなど、強弱感、過熱感と先高期待が入り混じる格好で終始方向感のない展開となりました。個別には業績上方修正や業績回復期待からでハイテク銘柄の一角や自動車株が買われ、商品市況の回復から非鉄株が堅調となってはいたのですが、強弱感が入り混じっているだけに上値の重さが確認されるとすぐに利益確定売りや見切り売りに押されるという状況で最後まで方向感は出ませんでした。

 「夏枯れ相場」と言うことでもないのでしょうが、何となく盛り上がりに欠ける展開となっています。本来であれば、月が替わり、しかも日経平均は年初来高値をようやく更新したところであり、続々と発表される決算は「思ったほど悪くない」決算となっており、米国でも景気底割れ懸念よりは回復期待が強まっており、盛り上がってもいいところなのですが、いっこうに物色対象が広がらず、相変わらず少し値動きが悪くなると、上値が重くなると見切り売りが出てくるという状況です。

 あいかわらず短期売買が中心となっており、業績回復期待が強まっている割りには腰の据わった買いがいっこうに入ってこない感じです。以前は株は持っていれば儲かるといわれていたのですが、今は売れるうちに売っておかないと損をするという感じです。それでも、よくよく見てみると、経済週刊誌で報道されているように所謂「国際優良銘柄」と言う銘柄の中に高配当利回りのものがあったり、PBR(株価純資産倍率)で割安感の強いものがあったり、と従来の投資尺度では測れないものが多くなっています。

 最終的には株は「安いところで買って高いところで売る」か「安いところで買って、その企業の成長と収益を享受する」ものではないかと思うのですが、どうしても目先的な値動きばかりが気になってしまうようです。目先的な売買で利益を上げることももちろんとてもいいことなのですが、そうしたことが「普通」と思わず、基本に戻って「投資先」の企業をもう少し長い目で選別してみるのもいいかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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