米国株安にも関わらず決算動向を受けて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年07月30日 15時52分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国市場が軟調となったのですが、自動車株の決算発表などを受けてADR(米預託証券)が高く、為替が円安に振れたこともあって買い先行となりました。それでも中国株の下落などを嫌気する動きや外国人が売り越しと伝えられたことから寄り付きの買いが一巡したあとは売り物がちとなり、小動きとなりました。後場中ごろからは好調な決算を好感して買われるものが多く、堅調となり、最後は目先筋の買戻しもあって高値圏での引け、年初来高値更新となりました。

 決算動向に敏感に反応する動きとなっています。今日は昨日の中国市場の大幅下落の話題もあり、米国市場動向だけでなく上海市場の動向も気にする向きが多かったようです。ただ、昨日の動きでも分かるように実際には中国株式市場の目先的な動向には日本や米国の市場は影響はほとんど受けないということが分かったのではないかと思います。

 以前も「上海発の世界同時株安」などと言って上海市場の下落が米国株安に繋がったようなことが言われましたが、実際には上海市場が大きく下げたときに、たまたま米国でも別な理由で大きな下げがあり、あたかも連動しているかのように言われたのです。最近同じように「サザエさんの視聴率が高いと株が安い」とか「ドリカムがヒットすると株が高い」などということをまことしやかに言われていますが、これも同様にたまたま以前そういうことがあった、ということに過ぎず、次もそうなるとは限らないのです。

 「風が吹けば桶屋が儲かる」という理屈は株式市場でもよく言われることですが、それは理由が後から付いてきたということであり、本質は「株価の動きを見て動く」投機家が参入したことでちょっとした買いが大きな相場のきっかけとなり、あとから理由をつけているだけのことです。つまり、本質のところは「売り物が出切って」買われただけかもしれませんし、どこかの資金が大量に日本市場に流入しているということかもしれません。「遊びで」いろいろな理屈を言うのはいいのですが、あくまでもその相場の本質を見極めることがしっかりと相場に乗るということになるのです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.