グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年7月24日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
「カロリーバランスとってる?」
44歳にして引き締まった肉体美を誇る俳優・ミュージシャンの高橋克典がCMで語りかけるエースコックの「はるさめヌードル」。ヒツジにオオカミの皮をかぶせるようなポジショニングが、この商品の妙である。
エースコックが「スープはるさめ」を発売したのが2001年。翌2002年に「はるさめヌードル」が発売された。はるさめシリーズは同社のドル箱商品であるが、その発売はエポックメイキングなできごとであったと言えるだろう。なぜなら、エースコックといえば、1988年に「スーパーカップシリーズ」を発売した、今日に続く、「大盛り・がっつり系カップめん」のパイオニアでもあるからだ。あの威風堂々たる存在感。学生時代にスーパーカップで空腹を満たしたという男性諸氏もさぞかし多いことだろう。
一方のはるさめシリーズの特徴は何といってもローカロリーであること。スープはるさめは90キロカロリーから多くても150キロカロリー未満。はるさめヌードルも140キロカロリーから200キロカロリー未満。ちなみに、コンビニのおにぎりが1個150キロカロリーから200キロカロリー程度で、おにぎり1個では寂しすぎるが、めん類1杯食べてそれなりの満足感が得られるのがこの商品のポイントなのだ。
もともとスープはるさめは、お昼休みの女子社員の「カロリー気になるけど、めん類食べたいの〜」という切なる願いに対応するべく登場した。今も「ワンタン」「かきたま」「野菜とわかめ」など、あっさり味中心のラインアップである。一方のはるさめヌードルは「豚キムチ」など、オトコ系がっつり味を充実させてきた。そのラインアップにターゲットユーザーの切なる願いと、それに対する商品の明確なポジショニングが現れている。
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