ソ連版スペースシャトルって知ってる? 価格1ユーロの「ブラン」を見てきた松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2009年07月21日 07時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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 学術的な堅苦しさのあるドイツ博物館に比べ、シュパイヤーとジンスハイムの博物館は家族連れが楽しめるアミューズメントパークの趣が強く、機体はまるで巨大なプラモデルのように展示され遊び心にあふれている。こういった特色は、両博物館が地元の乗り物ファンにより究極の趣味として設立されたことに由来する。そもそもの出発点は「貴重な品を自宅のガレージに眠らせておくのはもったいない」あるいは「ガレージが満杯になった」ため、いっそのこと一般の人も楽しめる博物館を作ろうというアイデアだった。

 ジンスハイム自動車&技術博物館は1981年のオープン以来拡大を続け、早くも1980年代終りに手狭となってしまった。近隣の市町村で新たな土地を物色していたところ、冷戦の終結にともない空き地となっていたシュパイヤーのフランス軍駐屯跡地を見つけ、1991年にシュパイヤー技術博物館を新規オープンした。両博物館の屋内展示面積は合わせて4万5000平方メートル。映画館、ホテルも備えるヨーロッパ最大の私立博物館に成長している。

シュパイヤー技術博物館屋内展示場(左)、シュパイヤー技術博物館全体図(右)

 収蔵品のおよそ8割が協会員をはじめとする個人所有品の借り受けであることも両博物館の特徴だ。世界各国の協会員2000人がネットワークを作り新たな収蔵品の情報を集め、時として貴重な品の収集にコネクションと政治力を発揮する。最後まで飛行を続けたコンコルド3機の1つをエールフランスから譲り受け、トゥポレフTU-144やブランのように通常のルートでは入手不可能な機体を収集できたのは協会員の世界的ネットワークの賜物だ。

 コンコルド、トゥポレフTU-144、ブランまで入手したのだから、次はぜひスペースシャトルが欲しい。ブランと異なりまだ現役で飛んでいること、そして数が少ないため具体的な話はないが、もし米国以外に展示されるとなれば、抜群の実績と信用からシュパイヤー技術博物館が第一候補となるだろう。

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