底堅いが、金融株などが売られ上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年07月15日 16時04分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が好決算の発表を受けて堅調となったことから、日本市場も堅調な始まりとなりました。ただ、寄り付きの買いが一巡した後は目先筋の利益確定売りや戻り売りに押されて伸び悩み、上値の重さを嫌気する動きや信用収縮を懸念する動きに上げ幅縮小、軟調となる場面もありました。それでも値動きの良さを好感して目先筋の買いが見られる銘柄も散見されて指数は底堅く堅調となりました。

 市場の動きが始まる前の自分の思惑と違う展開になることは良くあることです。そのときに冷静に市場で「何が起きているのか」を把握することが必要なのでしょう。米国市場が高いから、外国人が買い越しと伝えられたから、何でもかんでも高いというわけではないことはあたりまえであるし、米国市場自体も堅調なのだがドルが売られているとか、外国人は買い越しというが本当はあてにならない集計だとか、そのニュースの表面的な数字ばかりではなく、その裏にある事情をしっかりと把握する必要があるものと思います。

 また、いわば根拠のないジンクスのように因果関係を履き違えているケースなども良くあるのですが、目先的な株価動向ならともかく、相場の流れや少し先の株価動向を読み違えることになりかねません。本日でも「民主党が政権をとると見られるから商品者金融株が売られる」などという向きもあり、また、同様に高速道路がただになると見られるからJR東日本(9020)が売られるなどというコメントもありましたが、どちらも既に分かっていることで今日になって消費者金融株やJR東日本を売る理由にはなりません。

 実際には日銀金融政策決定会合があり、引け後に日銀総裁の会見もあることから、信用収縮懸念があり、日銀の金融政策を見極めるためにいったん手仕舞っているということなのでしょうが、株価の下落を見て慌てて下落理由を探すからそうした頓珍漢なことになるのでしょう。もう少し言えば、「金利」や「金融政策」の方向性を見極めるためにここのところ持高調整と見られる売りが出ているのかもしれませんし、また、そうした「金融政策」を見て、ファンド筋や外国人などがどの様な動きをするのかを見極めたいと言うことで買い手控えられているのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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