著者プロフィール:神尾 寿(かみお・ひさし)
IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを勤めている。
香川県高松市で広がる、高松琴平電気鉄道(ことでん)の交通ICカード「IruCa」。発行枚数は約15万枚。首都圏で広がるSuica・PASMOなどと比べると小規模とはいえ、利用率は約78%と高い。何より“地域カード”として広がっているのが特徴である。
本レポートの前編(参照記事)では、このIruCaが地元の商店街や公共施設などに広がり、官民がタッグを組む“地域カード”になっているようすを紹介した。後編となる今回は、約8500枚の学生証をIruCa内蔵型にした香川大学の利用状況や狙いについて紹介したい。
→交通を軸に「地域のカード」へ――IC利用率78%のIruCaの今(前編)
→IC利用率78.4%。IruCa(イルカ)の街、高松の電車・バス事情
香川大学は1949年に設立された香川県唯一の国立大学。現在は6学部7研究科を擁し、県内4カ所に分散してキャンパスを構えている。この香川大学が、IruCa内蔵学生証の導入に踏み切ったのは、学生証そのものの高度化のため更新を検討するタイミングと合致したからだ。香川大学では平成19(2007)年春からIruCa内蔵学生証の検討を開始し、平成20(2008)年から導入している。
「以前は磁気ストライプ式の学生証を用いていたのですが、学生証の機能や生協カードでの利用など高度化のニーズがあり、(学生証の)刷新・IC化ということになりました。当初は接触ICを搭載するクレジットカード一体型の学生証を検討していましたが、時代の流れはやはり『非接触IC』であろう。そこでまず国内で広く普及しており、高松市内でもIruCaという形で広がっていたFeliCaの採用が決まったのです」(香川大学理事副学長の角田直人氏)
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