学校ビオトープと学校の庭……この違い分かりますか?松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2009年07月14日 08時59分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 「学校ビオトープの環境教育」と書けば、環境教育に関心のある方ならばその様子をイメージしていただけると思う。小中学校の校庭に動植物の生息場所「ビオトープ」を作り、保護しながら自然の仕組みを学ぶ環境教育の手法はドイツを中心に発達したもので、近年、日本の学校も盛んに取り入れている。学校ビオトープでは自然と環境を体験できるだけでなく、そこに棲(す)む昆虫・小動物や自然は子どもたちに心の安らぎを与えてくれる。

 →あるがままの生き物の世界を―ビオトープで自然に親しむ(関連記事)

 これに対し「学校の庭の環境教育」と書けば、皆さんは何を想像されるだろう。

 ここで言う「学校の庭」にもビオトープが作られ環境教育に利用されるのだが、それだけでなく花壇や畑も作られ、より幅広い体験学習に利用できるのが特徴だ。実は、本家本元のドイツでは「学校の庭」が主流であり、決して(日本の)学校ビオトープ=(ドイツの)学校の庭ではない。

 今回は、先ごろ開催された「カールスルーエ教育大学の学校の庭の公開日」を題材に、ドイツにおける学校の庭とそこで行われる環境教育についてレポートする。

モデルは中世の修道院

 カールスルーエ教育大学の学校の庭が作られたのは1985年。現在は生物学部の教授が責任者となり、教員2人と、実習に参加する2クラス約40人の学生が管理している。面積は1600平方メートルとかなり広く、「畑の区画」「ビオトープの区画」「体験の区画」の3つに分けられる。畑の区画は中世の修道院の庭をモチーフとしており、十字型の通路は宗教性の現れだ。

「カールスルーエ教育大学の学校の庭」模式図
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