予想を上回る決算や雇用情勢に支えられ、商品市況の好転もあって堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年07月10日 08時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8183.17△4.76

<NASDAQ>1752.55△5.38

<為替:NY終値>92.97-93.03

予想を上回る決算や雇用情勢に支えられ、商品市況の好転もあって堅調

 前日の引け後に4−6月期決算の皮切りとして発表された決算が予想を上回り、朝方発表された新規失業保険申請件数も予想を下回り、雇用の改善が見られることに加え、原油価格など商品価格に底堅さが見られたことから、堅調な展開となりました。引き続き持高調整、信用収縮からのリスク資産はずしのような動きは見られましたが、値ごろ感からの買いも入り堅調となりました。ただ、先行きへの不安も根強く、決算動向が見極められるまでは積極的には買い上がり難いという感じです。一方で信用収縮の動きも一段落と言う感じで売り急ぐような場面はあまり見られず、市場も落ち着きを取り戻しつつあるようです。

 ユーロなどの通貨も買戻しも交え堅調となったことで、信用収縮懸念、リスク資産からの逃避の動きは一段落となった感もあります。まだ、景気回復に確信が持てないということで積極的な買いは期待し難く、あくまでも目先筋の買戻しが中心なのかもしれませんが、決算発表が本格化するにつれて、景気の底割れ懸念が薄れれば、今度こそはある程度確信が持てるということではないかと思います。長期金利が大きく上昇、つまり国債の需要が減衰しなければ、好決算などに反応しながら戻り歩調となって来るのではないかと思います。

 個別にはゴールドマンサックスが投資判断の引き上げを受けて買われ、連れてJPモルガンチェースなど金融株が高く、5−7月期の一株利益が予想と同水準か上回ると発表したターゲットが上昇しました。一方で前日引け後に予想を上回る決算を発表したアルコアは堅調に始まったもののアナリストの慎重な見方などもあって、結局軟調、6月の既存店売上高が予想を下回ったギャップが売られました。AIGは株主価値が無価値になる可能性が70%あるとのレポートが発表されたことから大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は大幅に円高になったことを嫌気して大幅続落となりました。売られすぎ銘柄の買い戻しが入る場面などもあり、底堅さが見られる場面もあったのですが、持高調整=リスク調整の売りが引き続き出ているようで、ほぼ全面安となりました。次々と節目をあっさりと割り込んで、ちょうど2月から3月の安値をつけるときと同じように、特に売り急ぐ材料もないなかで7日連続下落となってしまいました。

 米国市場が底堅かったことや為替も落ち着いていることなどから日本市場もそろそろ反発が期待されます。オプションSQ(特別清算指数)算出に絡む売り買いが一巡した後は値ごろ感からの買戻しや週末の持高調整のなかでの買戻しなども見られるものと思われ、堅調な展開が期待されます。持高調整の売りがまだ続くかどうかも懸念されるところですが、ユーロなどもしっかりとしており、少なくとも売り急ぐような動きはないと思われます。原油価格なども下げ一服となったことから商社株や石油株なども反発が期待されますし、小売株に好調な決算を発表するものも散見されることから、業績底入れ感が出ているようなものにも値ごろ感からの買いが入って来るものと思います。

 かろうじて、日経平均は一目均衡表の雲にサポートされた格好となっています。TOPIXは雲の中に入ってしまいましたが、日経平均に引きずられる格好でしっかりと戻るのではないかと期待されます。何とか9300円水準で踏ん張れば、日経平均10000円もまだまだ近いと感じられるのですが、ここの水準を割り込んで9000円水準での底値を確認するようなことになれば9500円水準までの戻りは期待出来るのですが、それ以上は上値が重くなってしまいそうです。ここで踏ん張ってあっさりと9500円を回復すれば底入れ感が強まり、一気に買い直されるのではないでしょうか。

本日の注目点

◇6月の企業物価指数(日銀)

◇1−6月のビール系飲料出荷量(大手5社)

◇6月の中古車登録台数(自販連)

◇5月の特定サービス産業動態統計速報(経産省)

◇5月の米貿易収支

◇決算・3−5月期:J・フロントリテイリング(3086)

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