カフェ フラハワイのマラサダ人気には、実は隠れた要因がある。それは、マラサダを支えるバイプレーヤーたちの貢献。言い換えるならば、そうしたバイプレーヤーに対する神谷さんの徹底したこだわりが、マラサダ人気を下支えしているのである。
例えばロコモコだ(ご飯の上に、ハンバーグ+目玉焼き〈+スパムミート〉を載せ、その上からビーフグレービーソースをかけたハワイのソウルフード)。
遠くからわざわざマラサダを食べに来たと言っても、お腹が空いていて、まずは軽く食事をしたいという人だって多いはず。そんな時、その辺のハワイアンレストランのように「ハワイ風」なだけの食事が出てきたら、それだけでテンションは下がり、マラサダに対する気分までネガティブになりかねない。
神谷さんは、そんなお客を裏切るようなマネはしない。なのでロコモコだって、ハワイの現地でも「こんなおいしいロコモコはあるだろうか」というレベルのものを苦心惨憺(くしんさんたん)して作り上げた。
なぜ、苦心惨憺なのか?
その原因はグレービーソース(正式にはグレービー)にある。このソースは、肉を焼く時に出る肉汁をベースにして作られるもの。米国では日常の食生活で広く使われており、ロコモコの味の決め手としても必須のアイテムである。しかし日本国内では、このグレービーソースがほとんど入手できないのである。
「日本でグレービーソースが入手困難なのは、日本人が、糊(のり)をなめているみたいだと言って嫌うからだと言われています。しかし、それは本当においしいグレービーソースを口にしていないからそう思うだけのこと。だったら、それを自分の店で作ればよい。
それなのに入手困難だからと言って、デミグラスソースで代用しているハワイアンレストランがほとんどです。でもそんなことをしたら、もはやロコモコではありません。ロコモコ風のまったく別の食べ物です。ですから私は自分の舌の記憶を頼りに、自分オリジナルの、しかもハワイで口にするグレービーソース以上と自負できる物を作っています」
もう一例挙げるならば、それはコーヒーだ。
「マラサダを邪魔しないために、一緒に飲んでいただくコーヒーは、ライオンコーヒーを思い切り薄くしてお出ししているんですよ。実際、ロコ(=ハワイアンローカル)は、水でも飲むみたいに薄くして飲んでいますからね」
ライオンコーヒーは、1864年創業のハワイの老舗コーヒーブランドであり、フレーバーコーヒーの分野では国際的にも評価が高い。ハワイ島コナ原産のコナコーヒーが、世界的高級ブランドであるとするならば、ライオンコーヒーは、ハワイのロコの生活に根ざした庶民の味。
薄目に入れたライオンコーヒーを合わせることで、マラサダを食べた満足度はより深いものとなっているようだ。
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