キャラ弁作りのヒントはノート。「服のお店や雑貨店をぶらりとして、“あ、この表現使える!”と思うと書き込んでおくんです」(小川)
5年前、年少組のカイ君のお弁当に始まり、年子の次男ハル君の卒園まで続けたキャラ弁、のべ500食に達する。さて、キャラ弁第一人者は、昨今のキャラ弁ブームをどう見ているのだろうか?
「食べられるものでないとダメですね」
ある企業からの依頼で3時間かけて、“撮影用キャラ弁”を作った。そのお弁当は実際には食べられない。仕事だから仕方ないとしても、表現に手をかけすぎたり、食に合わない色付けはどうかと思う。心がけるのは、トマト・タマゴ・ブロッコリーのように「赤・黄・緑の三色」を入れること。食べるための弁当なのだから、「栄養バランスも考えてほしい」と語る。
「次男のハル君もキャラ弁に喜びました?」と聞くと、「それが……、イヤがったんです」と小川さん。
内気なハル君、お昼のお弁当時間になると、フタだけをさっと開けて脇に置き、お弁当箱の包み袋をぐるりと立たせて、中身が友達から見えないようにしてソソクサと食べていた。母が「どうして?」と聞くと、ハル君は「みんなと同じフツーのお弁当がいい」と言った。
ハル君は目立つキャラ弁で溶け込めなかった。カイ君は目立つことで胸を張って溶け込めた。フタを閉じたい気持ちも、開けたい気持ちも、お弁当コンプレックスを抱いていた私にはよく分かる。お弁当とはかくも複雑なのだ。お弁当素材メーカーさんには、手早く作れる工夫、栄養バランスに加えて、“複雑な気持ち”も商品開発のヒントにしてほしい。
やがて、ハル君もキャラ弁OKに。2008年に2人とも給食が出る小学生になり、お弁当作りの機会が減った今、OBENTOデザイナーの小川さんはちょっと不満。
でも今、小川さんはOBENTOの輪を世界に広げつつある。海外のOBENTOファンたちと知り合い、この夏“OBENTOミーティング”でハワイにも行く。お弁当は節約になるし、何よりも母と子の対話のツールになる。その交流が世界中で活発になればいいだろう。
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