コラム
» 2009年07月08日 07時00分 UPDATE

経営陣が若いほど高収益って……本当? (1/2)

「40代社長」というのが、ニュースになりにくくなった昨今。取締役の平均年齢が若い企業ほど、収益力が高いというデータがある。年齢と収益力に何らかの“関係”があるとしたら、それはどんなものだろうか?

[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:竹林篤実(たけばやし・あつみ)

東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ


 取締役の平均年齢が若い企業ほど、収益力が高いというデータがあるらしい。とすれば、年齢と収益力には何らかの相関関係があるとも考えられる。仮に関係があるとしたら、どんなものだろうか。

40代社長の時代

 つい最近、そこそこ名の知れた企業で話題となる社長交代劇があった。いずれも共通するのは、新社長が40歳代であること。その1つ、HISで4月1日に社長に就任した平林氏はちょうど40歳である。若い社長が就任しているのは何もHISのような比較的新しい企業だけではない。ホテル界の老舗・ホテルオークラの荻田・新社長も43歳である。

 ベンチャー系の社長に若い人が多いのは当たり前だが、オークラのようないわゆるエスタブリッシュ系とされる企業でも、40代社長が普通に登場しつつあるようだ。以前なら、40代の社長はそれだけでニュースバリューがあった。例えばローソンに40代前半だった新浪氏が就任した時などは大ニュースとなったが、今ではそれほどのビッグニュースでもない。つまり40代での社長は当たり前のこととなってきているわけで、これは日本企業にとっては大きなパラダイムシフトだと思う。

 ここに面白いデータがある。日経産業新聞が調べた東証一部上場企業を対象とした、取締役の平均年齢と総資産経常利益率(ROA:企業に投下された総資本が、利益獲得のためにどれほど効率的に利用されているかを表す)の関係である。それによれば「取締役が若い企業ほど、ROAも高くなる傾向がみられた。平均年齢が55歳以下の企業のROAは8.4%で、年齢が上がるにつれてROAは下がっていった」とある(日経産業新聞6月23日)。このデータをもって記事に付けられた見出しは『若手役員、企業に活力』となっている。

役員が若いと高収益になるのか

 こう問いを立ててみると、実は記事に暗示されているような(していないのかもしれないけれど)相関関係には盲点があることも見えてくる。つまり役員が若いから高収益である可能性は確かにあるが、逆に高収益企業だから若い役員を抜擢できているとも考えられる。相関関係と因果関係をごっちゃにしないよう注意したいところだ。

 とはいえいずれにしても、若くても役員になれる状況が固まりつつあることだけは間違いないようだ。この点は、今や死語となった「年功序列社会」だった日本が、完全な転換期を迎えたということなのだろう。では、なぜ若くして役員になる道が開かれたのか。

若くても、20年前の40代とは情報経験量が違う

 役員になる道が開けた理由を端的に言えば「周囲にある情報量と、情報吸収量が培う意識の差」ではないだろうか。マネジメント、マーケティング、ファイナンスなどに関する情報量が今は、20年ほど前とは比べものにならないほど大量に流通している。もちろんネットがある。しかも、そもそもビジネス関係の書籍、雑誌が、感覚的にはこの10年ぐらいで急増しているのではないだろうか。

 一種の情報洪水的な環境にさらされていると、意識が変わる人も増えるはずだ。知らないうちにさまざまなシミュレーションをインプットされていることも何らかの影響を与えるだろう。もちろん、いくらバーチャルな情報を得たからといって、そこで得た知見がリアルな場にそのまま通じることはない。しかし、筆者がサラリーマンを始めた20数年前を基準とするなら、今はたとえバーチャルとはいえ吸収できる情報量に数次元の隔たりがある。

 また特にネットに顕著だが、インタビューやブログなど個人的な体験談、成功事例も膨大にある。英語を読めるなら、そうした情報はさらに爆発的に増える。ハーバードのビジネススクールで使っているケースだってネットなら読める時代なのだ。こうした実体験に基づいた情報への接触は、人によっては実体験を積むのとニアリーイコールな効果をもたらす可能性がある。

 しかも、そうした意識の高い人たちのための出会いの場も、ネット上にはあり、ネットからオフへの流れもある。これが以前なら「売り込まんかな」の異業種交流会や二世経営者が集まるJCのような機会しかなかった状況とは、大きな違いだ。梅田望夫氏風にいうなら「経営者を目指す人たちのためのハイウェイ」が用意されているのだ。

 以前なら実体験を踏まないことには解消できなかった、すなわちそれだけの時間を絶対に必要とした経験知を、今はあり余るほどの情報が補っている可能性は十分にある。

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