コラム
» 2009年07月07日 07時57分 UPDATE

松田雅央の時事日想:相互乗り入れで便利になるかも? 鉄道とトラムの融合 (1/3)

ドイツの中核都市と周辺都市を結ぶ「都市鉄道(Sバーン)」と都市の中を走る「トラム(路面電車)」を相互乗り入れしたら便利になるのでは? そんな発想から出発し、鉄道とトラムを接続したカールスルーエ市。今回の時事日想は、鉄道初の事例を紹介しよう。

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 ドイツの鉄道は営業区域の規模で大きく3つに分類できる。

 第1の形態はドイツ全土に線路網を持つ「DB鉄道グループ(以下、ドイツ鉄道)」(HP)。ドイツ再統合後の1994年に分割・民営化されたヨーロッパ有数の鉄道であり、日本でいえばJRグループに相当する。JRとの違いは「JR東日本、JR西日本」のような地域分割ではなく、列車の運行を担当する「DBバーン」、線路や駅の保守・運営・管理を担当する「DBネッツ」のように機能分割であること。そして鉄道網が他の国と連結し国際列車が頻繁に運行するのも日本にない特徴だ。

yd_matu1.jpg ドイツの新幹線ICE

 第2の形態は中核都市と周辺都市を結ぶ「都市鉄道(以後、Sバーン)」である。列車の運行範囲はドイツ鉄道よりずっと狭く、一路線は長くても200〜300キロに限られる。日本でいえば私鉄のような規模だが、運営主体は地方自治体の公社やドイツ鉄道の子会社など、いずれも公共企業である。通常のSバーンはドイツ鉄道の車両を借りてドイツ鉄道の線路を走り時刻表も統合され、見かけ上はドイツ鉄道と一体になっている。

yd_matu2.jpg ドイツ鉄道の線路を走るSバーン

 第3の運営形態は都市の中を走る「トラム(路面電車)」。数キロから20〜30キロの路線を小さな車両でこまめに走り、運営は都市の交通局や公社が担う。ドイツのおよそ60都市がトラムを運行し、バスと並ぶ市民生活の足として活躍している。

yd_matu3.jpg トラム

 本来、Sバーンとトラムは全く別種の鉄道なのだが、これを相互乗り入れしたら便利になるのではないだろうか? そんな素朴な発想から出発し世界で初めて鉄道とトラムを接続したのがカールスルーエ市だ。「カールスルーエモデル」として世界的に知られるこの方式は乗客の利便性を向上させ旅客数を劇的に増やすことに成功し、結果としてローカル線と地方都市の活性化にも貢献している。

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