二大政党が描く日本の将来像は――自民党×民主党 政策公開討論会(2/4 ページ)

» 2009年07月02日 10時40分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

園田 (日本の将来像を)言葉で言えば「平和で安心して暮らせる社会」、経済的には「ものづくりを中心とした社会」です。日本はエネルギー資源がないので外国から買わなければなりませんが、その何倍のお金を輸出をすることで得ることが必要です。しかし、日本の輸出依存度はほかの国と比べて特に高いと思わないのですが、輸出によって得られるもうけへの依存度は非常に高すぎました。そのために今、日本経済は急降下しているわけですが、そこで考えなければいけないのは、「内需拡大基盤をもう1回作り直す必要があるのではないか」ということです。

 内需拡大基盤といっても、「国内で消費する力が今までの何倍になる」ということはありえないとは思います。しかし、国内で作ったもの、国内のサービスを国民が自分たちの力で消化できる力を作らないといけません。そのためには、雇用の問題も含めて地方に力をつけるということが極めて重要です。地方が力を付けるには、農業や漁業や林業、特に大事なのは中小林業、こういったところで働いている方々が力が付けられるように何カ年か重点投資をすることが必要なのではないかと思います。そういう考え方から、今回の経済対策を初年度として組みました。したがってこれは継続性を持たないと、今私が申し上げたようなことを経済的な意味で達成することはできないだろうと思います。

昨年来の4弾にわたる経済対策について(自民党本部政務調査会作成)

 もう1つは国民の安心という問題です。これは最大の課題で、「社会保障制度の機能を強化しながら安心してもらえるような仕組みはどういう風に作ることができるのか」ということです。医療保険制度は崩壊に近づいていますし、年金は長妻さんたちがよく言われていますが、「これからの制度として今のままでいいのか」ということが大問題になっています。

 年金制度などは私は一度民主党に持ちかけたこともあるのですが、少子化とからんでいる問題なので少し時間をかけて与野党で議論をして、あるべき制度を作っていく必要がある、今度の選挙後も共通の問題意識をもってやるべきことかと思います。

 最初に申し上げた少子化対策ですが、これは皆さんご承知のように財政上の措置をとったからといって解決できる問題ではありません。多くの子どもが生まれて、この日本社会の中で時代を担ってもらえるような構造を作るために、いろんな施策をしかも継続的にやらなければなりません。財政措置を用意しながら、そういう環境を作るための施策を継続的に実行していかなければならないと考えています。

 最後に外交については、従来の路線を変えるつもりはありません。世界全体としては戦後すぐの時期と違って落ち着きを取り戻してきていますが、部分的にはさまざまな問題が出てきています。特にアジアの安全ということは非常に大事な問題ですが、このことに対して私は「日本が戦闘的になる必要はまったくない」と思っています。

 具体的にどういう外交活動をやっていくかについてはいろいろと議論があるかもしれませんが、このことについて日本が果たす役割は実はものすごく大きいと思っています。アジア、特に北東アジアの安全のために、今の強い態度だけではなく、積極的にその渦中に飛び込んでやっていくことが必要ではないかと思います。米国だけがアジアの安全保障を担っているわけではなく、アジアの一員としての日本の役割はものすごく大きいと思います。

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