経済指標や外部環境に関係のないところで目先的な需給に振り回されて乱高下清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年07月01日 17時11分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株安や日銀短観、中国の経済指標など関係なく、為替動向も金利も関係なく、目先的な需給に振らされる格好となりました。特に「何がどうした」ということもないのでしょうが、日経平均が10000円を超えると困るかのような先物の売り方であり、そうした思惑的な動きに目先筋が右往左往しながらついていって指数が乱高下となっているということのようです。

 本日の相場も何とも不思議な相場となりました。朝方は外国人が買い越しと伝えられたり日銀短観でも予想を若干下回ったものの景況感の改善は見られ、為替も円安となっているなかで、米国株安という材料に反応して軟調な始まりとなったものの、後場に入ると一転、昼の間に出た悪材料と思われるニュースや指標にも反応は鈍く、何とも説明のしようのない展開となりました。

 一言で言えば、昨日まででいったん手仕舞う動きが終わり、本日からは2009年の後半ということで、改めて出遅れ銘柄や割安感が強い銘柄、業績での改善や底堅さが期待出来る銘柄を物色する動きとなったものとも思います。そうした底堅さを見て指数が押し上げられると今度はオプションのヘッジのための先物への買いが入り、また指数を押し上げるということになったのではないかと思います。そして逆に10000円を超えたら困るような向きがまとめて先物を売ることで10000円乗せを阻止したということなのでしょう。いずれにしても目先的な需給による動きであり、経済指標も金利も為替も関係ないとこころで動いているということではないかと思います。

 つまり、需給が好転して「株を買う」と言う動きがあり、指数が上昇したことでそれぞれ買う材料、買える材料を探しているということではないかと思います。個別にみてもオリックス(8591)や全日空(9202)は増資を嫌気して売られ、みずほFG(8411)は材料出尽くしで買われ、朝から日銀短観の数字は出ており、中国の指標も10時頃にはわかっていたものが後場になってから反応するというようなことであり、材料に反応するというよりは需給関係から上昇となったものを後から理由付けしているということではないかと思います。材料を探すことに血眼になるよりは市場で「何が起きているのか」を把握することが大切なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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