芳しくない経済指標の発表を受けて軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年07月01日 08時32分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8447.00▼82.38

<NASDAQ>1835.04▼9.02

<為替:NY終値>96.34-96.4

芳しくない経済指標の発表を受けて軟調

 朝方発表になった住宅価格指数は予想を上回り、下落率が縮小、住宅価格の下げ止まりが見られたことから、買い先行となりました。ただ、午前中に発表になった消費者信頼感指数が予想を下回り、前月や前々月より悪化したことから一転戻り売りや見切売りに押される格好となり、住宅価格指数の下げ渋りを受けた債券市場の下落=長期金利の上昇もあいまって下げ幅を広げることとなりました。売り一巡後、債券市場が落ち着いたことやダウ平均で節目と見られる8500ドルを割り込んだところからは下げ渋りも見られ、最後は買戻しもあったのですが、ダウ、ナスダックともに軟調となりました。

 景況感の悪化と住宅価格の下げ渋りで奇しくもスタグフレーション懸念となってしまい、一時大幅下落となりました。それでも、まだドルが強含みとなっているところを見ると、景況感の悪化を嫌気してはいるものの再び底割れ懸念が出ているということでもなく、引き続き「景気底入れ」は確認できたがまだ「景気回復」の兆しが明確に示せないということなのでしょう。雇用と個人消費に底入れ感は出ているものの回復が見られないということであり、今後の雇用指標が注目されます。

 個別には金利の上昇を嫌気するように大型株の一角が安く、キャタピラーが大幅下落、アメリカンエクスプレスやプロクターアンドギャンブルなども軟調となりました。原油価格や貴金属価格が軟調となったことでエクソンモービルやシェブロンといった石油株なども売られました。投資判断の引き上げなどにも反応は鈍く、フェデックスが小安く、ゴールドマンサックスも軟調となりました。ダウ平均採用銘柄ではインテルやマクドナルドが堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を好感、月末のお化粧買い期待もあって買い先行で始まり、大幅高となりました。ただ、日経平均が10000円をつけると目先的な達成感もあり、為替もじりじりと円高に振れたこともあって、上値も限定的となりました。10000円を意識した水準で引けましたが、ここを抜けるかどうかで今後の展開も変わって来そうです。金融株の一角が増資を嫌気する売りに押された他はほぼ全面高となりました。

 米国市場が軟調となったことで、心理的な節目である10000円を意識して上値が重くなりそうです。ただ、日銀短観の発表もあり、予想以上の改善が見られれば為替が円安に振れたこともあり、輸出関連銘柄などを中心に戻りを試す展開になりそうです。日本での自動車販売などにも下げ止まり感も出ており、米国同様に雇用不安は残るものの景気回復期待から買われる可能性もありそうです。一方で目先的な過熱感から、10000円をつけたことでの達成感が出てしまう可能性もあり、日銀短観の改善が見られないと円安よりは米国株安に反応しいったん手仕舞い売りに押されるかもしれません。

 日銀短観の改善が見られ、それに反応する形で10000円を超えることがあれば、今度は10000円を固める動きとなるものと思われます。逆に10000円をつけることがなければ、再び押し目を確認するような動きとなって来るのでしょう。今日一日で見れば9800円前後では押し目を確認することになるのでしょうが、本日軟調な展開となると9500円から10000円でのもみ合いが続くことを確認する格好となりそうです。9900円水準を保つようであれば、明日以降の米国市場や為替動向次第で再び10000円に乗せて今度こそ10000円台を固める動きとなるものと思います。

本日の注目点

◇6月の日銀短観(大企業製造業業況判断DI予想(クイック):「‐40」)

◇09年分の路線価公表

◇6月の新車販売台数(自販連)

◇KDDI系のUQコミュニケーションズが次世代高速無線「WiMAX」を商用化

◇6月の米ISM製造業景況感指数

◇6月の米新車販売

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