“カネを返せ!”というのは誰か? 窮地に追い込まれる消費者金融シリーズ・“新借金地獄”の時代(3/3 ページ)

» 2009年07月01日 07時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

過払い金を請求している人たち

 そもそも改正貸金業法にはどのような狙いがあったのだろうか。改正貸金業法が成立した2006年当時、消費者金融の利用者は約1400万人、そのうち複数の業者から借金し、返済が滞っている多重債務者は約200万人いると言われていた。改正貸金業法には多重債務者の増加に歯止めかけるこという理念があったが、過払い返還を請求しているのは、本当に多重債務者なのだろうか。

 日本貸金業協会の調査によると、過払い返還を請求しているのは「延滞者(多重債務者)」が最も多く45%。次いで「正常に返済している」(33%)、「すでに完済している人」(22%)と続いている。過払い返還を請求している人の45%は多重債務者――この調査結果について、金融コンサルタントの小林幹男氏はこう指摘する。「過半数以上は本当に苦しい人たちかどうか疑問だ。過払い金という“恩恵”を受けているだけではないだろうか」

 また過払い返還の請求元を調べると、「弁護士」が最も多く58%、次いで「司法書士」が33%。過払い返還は本人(8%)でも請求はできるが、やはり法律がからんでくるので専門家に任せる人が多いのだろう。

 現場で返還請求を担当している人は、どのような思いで仕事をこなしているのだろうか。ある大手消費者金融の担当者は「弁護士や司法書士は我々に対し、『利用者にお金を貸すな!』『お金を返せ!』と要求してきます。しかし『その一方でお金を貸せ!』とも言ってくるのです」――。

 弁護士や司法書士が消費者金融に対し、「お金を貸せ」と言ってくるのは、どういう意味なのだろうか。それは2009年の秋ごろにスタートする、借金情報の共有化(指定信用情報機関制度)の問題とからんでくるのだ。(続く

 →あなたはお金を借りられますか? “借金難民”が溢れる日

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.