こうして作られたブロックを積み上げれば立派な壁ができ上がる。写真(1)はデモンストレーション用なので仕上げ処理をしていないが、本物の麦ワラブロックハウスの場合は表面に建築用の泥を塗って土壁とする。
気になる耐火性はどうだろう。
出展者であり麦ワラブロックハウスの建築家ユング氏によれば、麦ワラブロックハウスは耐火性能F90をマークし、建築基準を十分クリアする。F90とは、ごく簡単に書けば「炎を当て続けても90分間は燃え上がらない」ことを意味する。例えば太い材木に炎を当てる場面を想像して欲しい。材木の表面は黒く炭化するが木材自身がすぐに燃え上がるわけではない。このように、炎に60分以上耐えることができればF60、90分以上ならばF90ということになる。
麦ワラブロックハウスの壁は、まるで生き物のように呼吸し室内の湿度を調整してくれる。また麦ワラブロックの断熱能力は極めて高く、室内は夏涼しく冬暖かい。麦ワラブロックを使用すれば、ほとんど暖房費用のかからない「ゼロエネルギーハウス」を建てることも可能だ。
一見、奇抜なアイデアに思える麦ワラブロックハウスだが、実は100年以上前に米国やカナダの農村で使用されていたそうだ。現在の麦ワラブロック利用は、昔使われていた素材の「再発見」と言え、現在もカッセル大学では麦ワラブロックの研究を続けている。
なお、麦ワラブロックハウスの建築費は通常の家屋とあまり変わらない。壁は安く造れるがドア・窓・キッチン・バス・トイレなどは通常の製品を使用するので、全体としてコスト面での大きなメリットはないそうだ。
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