金融庁によると、貸金業登録業者数がピークだったのは1986年(3月末)の4万7504社。その後、ほぼ右肩下がりで減少し、2009年(3月末)には6178社まで落ち込んだ。2004年のヤミ金対策法※の施行により、登録することが難しくなった影響も受けているが、ここ1〜2年の減少は法改正の影響が色濃い。
日本貸金業協会の調査によると、2000万円の資金を用意できない業者は27%、5000万円は21%と、合わせて48%が資本不足に陥るという。そして、このままでは資本不足に陥るという業者の52%は「対応(増資など)する予定はない」と答えている。この結果を受け、日本貸金業協会では「現在、6000社ほどが貸金業に登録しているが、4条施行時には1500社が資本不足に陥り、4500社ほどに減っているかもしれない」と見通す。
改正貸金業法の2つめのポイントについて、小林氏はこう語った。「多重債務者を生まないために、過剰貸し付けを抑制することとなった。利用者がどれだけの借金をしているかを把握できるように、ネットワークを構築した※。そして借入額が年収の3分の1以下に収まるように『総量規制』を設けたのだ」という。
総量規制とは、貸金業者からの総借入額が年収の3分の1を超えることを原則禁止したもので、2010年6月までに実施される見込みだ。この総量規制が施行されれば、どのような影響が出てくるのだろうか。
「専業主婦(収入ゼロの場合)の方たちは、原則お金を借りることはできなくなる。夫の同意があれば借りることもできるが、そこまでして借りる人はどのくらいいるのだろうか。まだ総量規制は施行されていないが、すでに大手の消費者金融では専業主婦への貸し出しを見送っているようだ」(小林氏)
消費者金融を利用している人の約4割は、年収300万円以下といわれている。総量規制施行後に年収300万円の人が借りられるお金は100万円まで。「もしすでに数十万円借りていて、急な医療費でさらに数十万円が必要になればどうすればいいのか。借入金額の合計が100万円を超えてしまうと、十分な医療も受けられなくなるかもしれない」と小林氏は指摘する。
現時点で総量規制は施行されていないが、現場での対応は少し違う。「『総量規制が始まったので、お金を貸せません』と、いきなり顧客に伝えることはできない。なので他社で借りている人からの申し込みに対しては、審査を厳しくしている。また現在借りていただいている顧客でも、融資額を減らしているケースもある」(大手消費者金融)
総量規制は2010年6月までにスタートするため、残された時間は1年もない。消費者金融業界では総量規制を前倒しする形で、利用者に対し“貸し渋り”または“貸しはがし”を粛々と進めているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング