企業決算を好感する動き。値ごろ感からの買いが入り大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月26日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8472.40△172.54

<NASDAQ>1829.54△37.20

<為替:NY終値>95.9-95.96

GDPの上方修正や長期金利の低下、予想を上回る企業決算を好感する動きに値ごろ感からの買いが入り大幅高

 GDP(国内総生産)は上方修正となったのですが、朝方発表された新規失業保険申請件数が前週から予想外に増加したことから、雇用不安が募り軟調な始まりとなりました。ただ、債券市場ではこれを「好感」する形で買われ、7年国債の入札が順調にいったことから懸念されていた長期金利が低下、予想を上回る企業決算が見られたこともあいまって大幅高となりました。住宅関連銘柄の売上高が予想を上回ったことなどから住宅市場の改善が見込まれたことに加え、GDPの上方修正を裏付けるかのように、好調な決算などが取りざたされ、また、原油価格や貴金属価格が上昇したことも株価に支援材料となったものと思われます。

 雇用に対する懸念は出たのですが、足元の業績からは不安が払拭され、懸念されていた長期金利も低下したことなどから反発となりました。日本市場と同じように6月の決算絡みの持高調整で売られていたものが、売り一巡感となったことも株価上昇の要因となったものと思われます。経済指標や決算動向もまだ懸念は残るものの少なくとも景気底割れに対する恐怖は完全に払拭され、悲観的な見方を徐々に改善しているという状況ではないかと思います。もう少し経済指標や雇用指標の改善が見えれば完全にセンチメントは上向くということなのでしょう。

 個別には四半期決算が市場予想を上回ったベッド・バス・アンド・ビヨンド(家庭雑貨小売り)が大幅高、売上高も予想を上回ったレナー(住宅建設)も急騰、公的資金の一部を返済すると伝わったAIG(アメリカンインターナショナルグループ)も堅調となり、金利低下を好感してアメリカンエクスプレスが大幅高となりました。原油価格の上昇を受けてエクソンモービルやシェブロンが高く、GDPの上方修正を受けて、アップルやグーグル、IBMにインテルとハイテク銘柄も軒並み高、ウォルマートも高くなるなど、ほぼ全面高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米ナスダック指数が大幅高となったことや為替が円安に振れたこと、持高調整の売りが一巡したことなどから買い先行ではじまり、先物のまとまった買戻しやヘッジの買いに主導されながら大幅高となりました。9500円水準での底堅さが確認されたことで、買戻しを急ぐ動きもあり、また、オプションのヘッジなどで先物を買い上がる動きもあったものと思います。火曜日に大きく下がった分を取り戻すように節目と見られる9800円水準まで一気に戻しました。

 米国株が大幅高となったことで、昨日の大幅上昇を裏付けると同時に引き続き戻りを試す展開となってきそうです。ただ、為替が対米ドルでは再び円高基調となる場面もあったことから、輸出関連銘柄などは買い戻しは入るものの積極的に買い上がる動きは限定されるのかもしれません。資源関連銘柄や出遅れ感の強いディフェンシブ銘柄や内需関連銘柄の水準訂正などはあるものと思われますし、昨日同様に先物に買い戻しやヘッジ買いが入れば為替動向に関係なく、値がさ銘柄などが買われることになるのでしょう。週末の手仕舞い売りやヘッジ売りと手仕舞いの買戻しなどがせめぎ合う形で、昨日の大幅上昇が米国株高をどこまで織り込んでいるかが注目されます。

 9800円水準まで一気に戻ったことで9500円の節目での底堅さが確認できたものと思われます。今度は心理的な節目である10000円を抜けるのかどうかが注目されます。先物への買い戻しを急ぐような展開になれば、今度は10000円の水準で達成感が出るというよりは、10000円を抜けて、10000円の大台を固めるような動きになるのでしょう。まだ9500円から10000円までのもみ合いが続くと考えている向きも多いと思われ、10000円水準での上値の重さが見られたときに買いが入るかどうかがポイントとなるものと思います。

本日の注目点

◇5月の全国消費者物価指数(総務省)

◇4月の全産業活動指数(経産省)

◇3−5月期決算:高島屋(8233)

◇5月の米個人消費支出

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