著者プロフィール:葛西伸一(かさい・しんいち)
大学卒業後、大手エレクトロニクス商社に勤務。その後、IT業界、映像コンテンツ業界と15年間の営業・企画・マネージャー等の経験を経て、 2007年4月に(株)メンター・クラフト設立。豪州ボンド大学大学院MBA(経営学修士)エグゼクティブ・コーチ(JIPCC認定)、日本コーチ協会正会員
さて今年もまた、新入社員が各部門へ配属されたことだろう。配属先の上司や先輩社員たちは、次のような疑問をお持ちではないだろうか?
「今年の新入社員の特徴は?」「どう接したらいいの?」「どうすれば育てられるの?」――。という声を各方面から多数いただくため、新入社員を分析した。
世間の声の通り、今年度の新入社員は従来の新入社員とは一風違った特徴を持つ。ここでは4つのタイプが、2009年度新入社員に関してどのような割合を占めているかを分析した。
その分析根拠は、(1)2009年新入社員意識調査(日本生産性本部のアンケートデーター)、(2)実際に今年度の新入社員と接した私自身の体験、(3)新入社員研修を終了した講師陣からのヒアリング――。この3つのデーターから次の分析を行った。
新入社員のタイプを大きく4つに分けると、次のように大別できる。これは、割合こそ入社年度ごとに変化するが、本質的な分類でありこの4つの型は変化しない。そのため、毎年留意すべきは、今年はどのタイプの人材が多く入社したのか? という点である。
このタイプは、比較的人から注目を浴びたいタイプ。退職リスクは高めだ。理想と現実のギャップを知った時に、失望を感じる。しかし、理想を目指しているため、新たな理想や目標があれば、モチベーションが上がるタイプだ。理想が現実とは異なることを知ったタイミングで、新たな理想(目標)を本人に設定させる。40歳でカッコイイ状態ってどんな状態か? (例:スポーツカーを乗り回す。クルーザを乗り回すなど)そのために何をすればいいのか? 本人に設定させ、承認する。
このタイプは、「職場の仲間」や「友達」を重視するタイプ。退職リスクは低めだ。そして、定年まで会社に貢献してくれる可能性が高い。お金を稼ぐことの面白さ、仕事とプライベートのワークライフバランスの重要性を説いて常に、上司が対話してあげるだけで、長期的に在籍してくれる可能性が高い。
このタイプは、仕事よりも「家族」や「趣味」に重心を置く傾向がある。退職リスクは低めだ。定時内で必ず仕事を終わらせ、多少の問題や課題は、早く忘れ、プライベートを充実することで乗り切るタイプ。仕事の面白さを経験談などで伝え、高効率処理を徹底的に磨き、承認してあげることが大切だ。
このタイプが求めることは、「自由」「成功」だ。退職リスクは最も高い。自社内でも「自由」や「成功」を手に入れること、またその事例を提供し、社内のパイオニアになることで、自分の目標を達成することもやりがいがあることを気付かせよう。
みなさんの部署へ配属された今年の新入社員は、どのタイプが多いだろうか? 私の分析では、冒頭に紹介した3つのデーター根拠から、今年の新入社員は、TypeB「素直成長型」とTypeC「安定型」との人材が、昨年までに比べて圧倒的に多いということが判明した。
これは(1)2009年新入社員意識調査という、定量的なデーターでも判明しているが、それ以外にも、(2)(3)の定性的データーからも、今年の新入社員は「独立よりも社員」「転職よりも終身雇用」という意識を持っており、さらに心の内を主張するのが苦手な世代であるようだ。
具体的には、2000年ころの新入社員と比較すると顕著な差が発生している。図を見ていただければすぐにお分かりいただけると思う。
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