円高や米国株安を嫌気し、手仕舞い売りがかさんで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年06月16日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株の大幅下落などを受けて大幅安となりました。前場は底堅さも見られたのですが、後場に入ると売りがかさみ大きな下げとなりました。心理的な節目である日経平均10000円を超えたことからの達成感や円高を嫌気する動きなどもあり、売り急ぐ展開となったものと思います。急落となったことで、システム的な損失確定の動きも見られたものと思われ、下げを加速する要因となったようです。アメリカの格下げやカリフォルニア州の厳しい財政などが取りざたされていましたが、下落の材料を探したということなのでしょう。

 目先的な過熱感が強かったこともあり、いったん買い方の回転が止まって、逆に回転すると本日のような大きな下落となるようです。昨日までの買い気の強い相場と何がどう変わったということでもないのでしょうが、市場参加者の少なさがこうした一方向の大きな動きとなるものと思われます。ただ、米国市場でもダウ平均の8500ドルやナスダック指数の1800といった「節目」となる水準は割り込んでおらず、底入れ確認となった戻りの上昇トレンドには変化はないものと見てもいいのではないかと思います。

 過熱感は確かに強く、「景気底入れ」と言う水準が9500円を超える水準ということであれば、「景気回復」の兆しが見られるまでは10000円乗せは時期尚早ということなのかもしれません。ここのところ発表される経済指標は日米共に「予想を上回ったものの芳しくない」とか「改善してはいるのだが、予想を下回った」などといった、景気底入れは確認できるが回復まではいかないというようなものが多く、過熱感が出た相場では調整が必要ということなのでしょう。

 昨日も軟調ながらも値上り銘柄数が多く、物色一巡感が出たことも本日の大幅下落の要因ではあるのですが、昨年10月や今年2月から3月にかけてのような有無を言わさない売り切りと言うよりは、景気回復を先走って織り込んだところの行き過ぎの調整ということなのではないかと思います。日米の指数が節目(日経平均9500円、ダウ平均8500ドルなど)を割る込むまでは「押し目」と考えて出遅れ銘柄や割安銘柄を探すことでいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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