インタビュー
» 2009年06月16日 08時00分 UPDATE

“週刊誌サミット”番外編・元木昌彦氏に聞く:週刊誌ジャーナリズムの役割とは? 裁判員制度との関係(前編) (1/2)

苦境に立たされている出版業界だが、中でも週刊誌の部数の落ち込みが激しい。週刊誌ジャーナリズムを取り巻く環境について、元『週刊現代』編集長を務めた元木氏は、どのように見ているのか? 話を聞いた。

[土肥義則,Business Media 誠]

 販売部数や広告の減少などにより、雑誌の休刊が相次いでいる。2008年には『月刊プレイボーイ』(集英社)、『月刊現代』(講談社)、『読売ウィークリー』(読売新聞)、『FLASH EX』(光文社)などが休刊、2009年は『編集会議』(宣伝会議)が休刊に追い込まれている。

 企業広告の撤退のほか、インターネットの台頭や携帯電話の普及など、複数の要因が重なり合った結果、多くの雑誌が悲しい末路をたどっている。出版社をめぐる環境はますます厳しくなっているが、そんな危機を打破しようと、“週刊誌サミット”が5月15日、東京で開かれた。その席で編集長や元編集長は週刊誌の現状について語ったが、発起人となった元木昌彦氏はどのように受け止めていたのだろうか。『週刊現代』や『FRIDAY』などの編集長を務めた元木氏に、週刊誌ジャーナリズムの課題などを聞いた。

 →編集長は度胸がない+愛情がない……週刊誌が凋落した理由(前編)

 →弾圧を恐がり、“感度”が鈍い編集者たち――週刊誌が凋落した理由(後編)

昔は“やんちゃなこと”ができた

yd_motoki.jpg 元木昌彦氏

――週刊誌サミットを開催しようと思った、きっかけを教えてください。

 週刊誌の置かれている状況は厳しく、「今年もいくつかの雑誌が休刊するかもしれない」という噂が出ている。私は週刊誌のOBだが、「この状況をなんとかしたい」という思いから、週刊誌の関係者に声をかけていった。

 週刊誌ジャーナリズムはこれまで、何をやってきたのか。そして今、何に苦しんでいるのか。そういったことを皆さんに聞いてもらう……アピールする場を設けたつもり。自己弁護ではないが、「週刊誌がなくなってもいいのか」ということを訴えたかった。

――“週刊誌サミット”の中で田原総一郎さんは「編集長は度胸がない」と言っていました。また佐野眞一さんからは「編集者の感度が鈍っている」といった言葉がありました。

 私が『週刊誌編集長』(展望社)という本を書いたとき、田原さんは本の帯に「日本で一番危険な編集者」と書いてくださった。当時、私が編集長をしていた時代はいろんな意味で週刊誌が力を持っていた。部数が多かったことを背景に、権力と戦うことができた。いわば“やんちゃなことができた”時代だった。

 しかし今は部数が落ち込んでいるため、利益が減少し、ほとんどの週刊誌は赤字を抱えている。さらに名誉棄損の損害賠償額が天文学的な数字だ。全体的に週刊誌の現場が萎縮している。会社側からは「告訴されるな」「赤字を解消しろ」といったことを言われ、全体の萎縮感が漂っている。そのため田原さんからも「度胸がない」「勇気がない」と言われるのだろう。

 編集長も「度胸がない」といったことは認識していると思うが、なかなかうまくできない。背景には自主規制をしているのではないだろうか。ここに一番大きな問題がある。「度胸がない」というのはたやすいが、週刊誌を取り巻く状況は複雑だ。田原さんは発破をかけているだけで、佐野さんの「編集者の劣化」という言葉も、「編集者よ、しっかりしろよ!」という意味だろう。

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