雇用指標の好転、金利低下、商品市況の上昇を好感して堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月12日 09時01分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8770.92△31.90

<NASDAQ>1862.37△9.29

<為替:NY終値>97.59-97.65

雇用指標の好転、金利低下、商品市況の上昇を好感して堅調

 朝方発表になった新規失業保険申請件数が予想よりも減少、雇用不安が薄れたことや、小売売上高も予想通りとは言え、底入れ感が出ていることなどから買い先行で始まり、いったんは戻り売りに押される場面もあったものの商品市況の上昇を好感して切り返し、30年国債の入札が堅調と伝わると金利低下を好感、一時大幅高となりました。引け際には目先筋の手仕舞い売りや戻り売りに押されて上げ幅縮小となりましたが、慌てて売り急ぐこともなく、堅調となりました。

 様々な懸念材料が徐々に解決、残る雇用問題や個人消費に対する懸念も薄れたことから堅調となりました。商品市況の上昇も景気の回復という意味では好感されるのですがインフレ懸念、スタグフレーション懸念が強まると相場の足を引っ張ることになりそうです。昨年までのような上昇はさすがにないのでしょうが、投機的な動きも多分に見られ、今後は実体経済がついていけているのかどうかなどが問題となって来そうです。引き続き、景気指標、特に個人消費や雇用関係の指標は注目され、金利動向などの影響も大きくなるものと思います。

 個別には収益見通しの引き上げのあったバンクオブアメリカが大幅高、会長がCEO(最高経営責任者)を兼務すると発表したパームも大幅高、エクソンモービルやシェブロンも原油価格の上昇を好感して堅調となりました。売上高見通しを引き下げたクアルコムが安く、増配を発表したにもかかわらずターゲットが軟調、ウォルマートも売られるなど個人消費関連銘柄の一角は軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高にも関わらず先物主導で底堅い堅調な展開となり、一時心理的な節目である日経平均10000円を超える場面もありました。ただ、一方で目先的な過熱感や達成感もあり、結局は方向感のない気迷い気分の強い展開となりました。SQ(特別清算指数)算出を控えて持高調整の売り買いが中心であり、方向感はなかったのですが、売買高、売買代金ともに高水準となりました。

 本日は米国市場が堅調であったことから日本市場も堅調な展開が期待されますが、SQ算出日ということで波乱が予想されます。寄り付きの売り買いが波乱要因というよりは、SQに絡んで売り買いが出ていたものがなくなる、あるいは手仕舞うことで目先的な需給に振り回されてしまう可能性もありそうです。朝方発表される鉱工業生産指数(改定値)も注目されますが、特に大きな修正がなければ影響も限定的となって来るのでしょう。週末と言うこともあり、SQ後の持高調整の動きで方向が大きく出てくるものと思います。

 日経平均が10000円を超え、10000円台を固める動きとなるのかどうかというところです。ちょうど9000円や9500円をつけた時のようにいったんは達成感から調整となる可能性も高いのですが、持高調整の動きなどで買戻しを急ぐ展開になると10000円台を固めることになるのでしょう。目先的には過熱感も強いことから、指数は調整となり、出遅れ銘柄を物色する動きとなって来るのではないかと思います。個別に好材料には敏感に反応することになるのではないでしょうか。

本日の注目点

◇5月の消費動向調査(内閣府)

◇4月の鉱工業生産指数確報(経産省)

◇5月の中国工業生産と小売売上高

◇4月のインドの鉱工業生産指数

◇決算・11−4月期:エイチ・アイ・エス(9603)

◇決算・2−4月期:サイボウズ(4776)、ナイガイ(8013)、東京ドーム(9681)

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