コラム
» 2009年06月12日 12時00分 UPDATE

映画はこうして作られる――映画プロデューサーの仕事とは(前編) (1/4)

映画やテレビドラマなどを制作する上で大きな役割を果たすにも関わらず、監督に比べて地味な存在と思われがちなプロデューサー。プロデューサーの仕事とはどのようなものなのか、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナーでGONZOの内田康史氏が語った。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 産学共同映像研究所は5月23日、東京ディストリビューション・オブ・コンテンツセミナー(TDCS)の一環としてGONZOの内田康史氏を講師に招き、「TDCSワークショップ」を開催した。内田氏はプロデューサーとして『厳窟王』『バジリスク』などを手がけ、『GANTZ』では米国展開でも一定の成功を収めた。プロデューサーの仕事とは何なのか、海外展開を行う上で重要なことは何なのか、内田氏の講義の内容を詳細にお伝えする。

ah_ei1.jpg GONZOの内田康史氏

もの作りがしたかった

内田 僕はGONZOという会社に9年間勤めています。その前はギャガ・コミュニケーションズという会社で、米国映画買い付けの責任者をしていました。なぜGONZOに転職したかというと、「作る方の仕事をしたい」と思ったからです。

 日本で何か作ることを仕事にしようと思うと、アニメーションの仕事か、テレビドラマの仕事か、ゲームの仕事くらいしかありませんでした。今は邦画もありますが、10年前はほとんど脚光を浴びていませんでした。今は日本の映画は一躍脚光を浴びて、お金も入るようになっているようですが。

 僕はギャガの時にゲームの仕事もしていたのですが、ゲーム業界はシステムがかなり確立している業界でした。ハリウッドのモノ作りと同じくらいの産業規模でやっていたので、「今から参入しても勝ち目がない」と思いました。1990年代後半は『新世紀エヴァンゲリオン』が大ヒットして、「日本のアニメ産業が海外に出て行く」と言われ始めていた時期です。僕は海外の仕事が比較的多かったので、「何か力になれることがあるかな」と思って、まだ創業したばかりのGDH(現GONZO)に入社したのです。

 GONZOに限らず、今アニメ産業はどこも大変な状況です。そんな厳しい中でも、もの作りはなくなると思っていませんし、むしろ景気回復した後は日本の産業として海外にもっと大きく出ていかないといけない産業の1つだと思っているので、なんとかそういうところで自分の力を発揮したいと思っています。

日本のコンテンツ産業の規模は

内田 日本のメディアコンテンツ産業は世界第2位の規模、第1位はもちろん米国です。売り上げ規模は13兆9000億円(2007年)、キャラクターと遊技機は入れていません。遊技機とはパチンコ・パチスロ産業で、今30〜35兆円くらいです。

 第1位の米国は、GDP比で5.1%はコンテンツ産業が占めています。一方、日本は2.7%と米国の半分くらい、単純にGDP比で考えると、日本のコンテンツ産業は国内で発展する余地がまだあると考えています。これはゲームも含めての数字なのですが、「日本人はエンターテインメントに触れている機会が多い」と特にここに参加されている方は思うでしょうから、「米国に比べると消費は全然少ない」という言い方もできると思います。

 日本のコンテンツ産業全体の売り上げに占める海外での売り上げの比率は3%程度です。これは2000年の数字ですが、一番新しいデータでもそれほど変わらないと思います。新聞などで言われているほど、売り上げは立っていないという現状です。米国のコンテンツ産業は輸出産業としてどうなのかというと、海外の売り上げは17%を占めています。つまり、日本は国内でまだ伸びる可能性を秘めているし、海外でも米国の6分の1程度しかないので、「のびしろがある」という言い方ができると思います。

ah_nihokon.jpg 日本コンテンツの海外売り上げ比率
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