米国株安、円高、金利高にもかかわらず、前日の大幅高の反動もなく底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年06月11日 15時29分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は軟調、為替は円高、外国人売買動向は買い越し、朝方発表されたGDP(国内総生産)も上方修正と強弱入り混じる材料も見られたのですが、SQ(特別清算指数)算出を控えて先物へのヘッジの買いが入り、日経平均は昨年10月8日以来の10000円台となりました。引けは10000円を割り込んだものの持高調整の売り買いが多く、売買高、売買代金ともに高水準となりました。

 日経平均が10000円をつけたのはあくまでも先物主導ということで、景気底入れが確認されたというところは9500円を抜けたことで確認されたものと思います。オプションのヘッジのために先物を買い上がる動きがあり、そのために指数を押し上げる結果となったものと思います。昨日も機械受注は決して芳しいものではなく、景気底入れを確認するほどの材料でなかったのに大幅高となり、その反動で軟調となってもおかしくはないところで、本日も10000円をつけるというのはある意味でとても不思議なことだと思います。

 相場の世界で「不思議なこと」が起こるときは、「何か」の力が働くことが多く、今回の10000円をつける過程でも、オプションに絡む先物の買いが見られたわけですし、バブルとなる過程でも、バブル崩壊の過程でもこうした「不思議なこと」が起こることは多いと思います。もちろん、分かり切ったように相場が動くのであれば何も苦労しないのですが、その時々で「不思議なこと」が不思議でなくなったりもするので、相場は難しいということになるのです。

 今回の相場も、これをきっかけに10000円を超えて、10000円を割らずに上値追いとなる可能性もありますが、とりあえずは特別な要因で抜けたと考えておき、特別な要因(今回の場合は「SQ」)が終わったところで、まだ買い気が多いのか、それ以外の上昇要因が出て一段高となるのか、また、特殊要因がなくなったことで、次の材料を待つために昨日今日出た悪材料(機械受注や円高)を織り込むために押し目を作ることになるのか、明日のSQ後の相場や来週の相場をしっかりと見極めたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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