引き続き手掛かり難のなか、まちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月09日 08時11分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8764.49△1.36

<NASDAQ>1842.40▼7.02

<為替:NY終値>98.44-98.5

引き続き手掛かり難のなか、まちまちの展開

 特に注目される経済指標などがないなかで長期金利の上昇を嫌気、利益確定売りを急ぐ動きから大幅下落となる場面もありました。ただ、大きく下落したところでは押し目買いや買戻しも入り、原油価格などが切り返す場面では石油関連銘柄なども切り返し、ダウ平均は小幅高となりました。ナスダック指数は軟調となりましたが、売り急ぐというよりは利益確定売りに押される銘柄が多かったという印象で、底堅さは見られる相場展開でした。公的資金返済の承認を発表すると報じられて金融株の一角が堅調となったことも指数を下支える要因となりました。

 景気底入れ感は出たものの景気回復はまだまだと言う雰囲気で買いも手控え気味という感じです。押し目では値ごろ感からの買いもあるのですが、景気回復に対する確信が持てず、積極的には買いにくいということです。一難去ってまた一難ということがここ2年くらい続いている感じですが、景気底入れとなったとたんに今度は利上げに対する懸念が出ているようです。「スタグフレーション」に対する懸念が見られるということで、商品市況の上昇を素直に喜べなくなるのかもしれません。これから、経済指標などで景気の回復が見られたところでの金利動向なども注意が必要なのかもしれません。

 個別にはこの日からダウ平均に採用されたトラベラーズ(保険大手)は1%高く、シスコシステムズ(通信機器)は横ばいとなりました。公的資金の返済が承認されると報じられて、アメリカンエクスプレスやJPモルガンは堅調となったのですが、ゴールドマンサックスは小幅安となり、まちまちとなりました。米国で5月の既存店売上高が予想を下回ったマクドナルドが安く、携帯電話機などの値下げを発表したアップルも安くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円安や外国人売買動向が買い越しとなったことを好感して買い先行で始まり、目先的な過熱感は強いものの大幅高となりました。小型銘柄も軒並み高く、出遅れ銘柄を物色するような動きで相場の底上げとなっているような格好です。一方で過熱感が強いことから利益確定売りもかさみ上値も限定的となっています。

 米国市場は引き続きもたつきながらも底堅い展開となったことから、日本市場も底堅い動きとなりそうです。目先的な過熱感が強まっていることから指数が牽引するような格好で全面高とはなり難いのでしょうが、個別の材料に反応しながら割安感が強い銘柄や出遅れ銘柄を物色する動きとなってくるものと思います。重要な経済指標の発表やSQ(特別清算指数)算出を控えて積極的に持ち高を増やすと言う動きにはなり難く、目先筋の売買が中心となり早め早めに手仕舞いの売り買いで右往左往する場面もあるのではないかと思います。

 過熱感と景気底入れ感とのせめぎ合いということでしょう。昨日、「上ヒゲ線」と言う形で本日の寄付きが安いといったん高値となってしまう可能性も高いのですが、逆に昨日の「窓」を埋めて9800円前後での押し目を確認してしっかりとなるパターンも考えられます。騰落レシオが2006年8月23日以来の高い水準となっていますが、そのときも高値をつけたのはその後の押し目を確認してからとなっており、いったん10000円に突っかけるような場面は出てきそうです。10000円を抜ければ抜けたで達成感、抜けなければ抜けないで失望感が出て、いったん調整と言うことになるのではないでしょうか。

本日の注目点

◇4月の景気動向指数(内閣府)

◇4月の特定サービス産業動態統計速報(経産省)

◇4月の米卸売売上高

◇1−3月期のブラジル国内総生産(GDP)

◇決算・2−4月期:丸善(8236)、モロゾフ(2217)

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