――映画ではさまざまな印象的な風景が登場しますが、ロケーションでは苦労されましたか?
ベルトラン それほど難しいことではありませんでした。私は(写真家として)過去40年間、世界中を回り、最悪の場所やあるいは最も美しい場所を見てきました。長年研究もしてきたので、さまざまな場所へ行く経験があったのです。
あまりにも多くの国を回って(撮影した量が膨大なものになったので)、本当は6時間ほどの映画にしたかったのですが、「6時間の映画はあまりいいアイデアではない。2時間ほどにおさめるべきだ」とベッソンさんに言われてしまいました。編集するのが難しかっただけで、撮影場所を見つけることはそれほど困難ではありませんでした。
テレビ番組の編集では短いカットを重ねていくことが中心になりますが、この映画ではヘリコプターであたかも現地を回っているかのようにゆったりと映像を見られるように1つ1つのカットを長めにしました。なぜなら、我々のメッセージがはっきりと人の頭に焼き付くように伝えたかったからです。
――編集することが難しいぐらい多くの素晴らしい映像が撮れたということですが中でも注目してほしい場面はありますか?
ベッソン 最初の80分間です(笑)
ピノー 私は最後の10分間に注目してほしいと思います。最後の10分間では、世界にとっての希望が語られています。「何かいい方向があるのではないか」「正しい方向に向かいつつあるんだ」「(環境問題を解決するために)もっとフォーカスを絞って、何をするべきか絶え間なく追求するべきだ」ということを伝えているのです。
ベルトラン すべてのシーンがつながっているので、1つの場面だけを取り出して「特に良い」と言うことは難しいです。
撮影している時、グリーンランドで氷が溶けて川になっている情景を見ました。氷山の上に大きな川ができているのを見て泣きそうになりました。10年前に行った時はあんな川はなかったので驚いたのです。
グリーンランドには一切、工場などはありません。それは我々の生活様式がはるか遠いグリーンランドにまで影響を及ぼしているということの証で、(環境問題は)世界的な現象だなのと痛感しました。
――環境問題ではどんなことに注目していますか?
ベルトラン 日本には過剰消費があり、また多くのものを廃棄しています。日本には4万店のコンビニがあり、弁当などを販売しています。しかしそうした弁当の賞味期限は8時間しかなく、売れ残りを3つの大きなゴミ袋に入れて捨てていたのです。
米国産の肉やタイ産のエビ、ロシア産のじゃがいもなど、世界中から送られてきたさまざまな食品がその弁当の中に入っているというのにです。コンビニが4万店あるということは、毎日12万袋分のゴミが捨てられているということで本当にばかげていると思います。
また、日本には4日に1機種、新しい携帯電話が登場していると思います。何百種類もの携帯電話が発売されてきたと思うのですが、2〜3年は携帯電話を変えずに済むようにしないといけないと思います。あまりにも消費をしすぎているのです。我々はよりよい生活を、より少ない資源で過ごすことができなければならないのです。
ピノー (日本と同様)フランスも決して優秀ではありません。我々も同じような悪い習性を持っています。今日本の習性を語ったわけですが、我々も同じように悪い習性というものを持っているわけです。
PPRグループもさまざまな消費者向け製品を作っているのですが、確かにベルトランさんがおっしゃっているように、我々のものの消費のやり方を変えなければなりません。そして、もの作りでももっと環境に配慮したものの作り方に変えることができるはずだと考えています。
ベッソン (過剰消費の背景には)日本が島国であること、そして日本のほとんどは山であるために、自給自足することが難しいことがあることは分かっています。それぞれの国では固有の問題があります。ただ、どんな問題があったとしても、我々は一緒により良い状況を作る努力をしなければならないと思います。
――日本のファンにひと言。
ベッソン メッセージとしては「ただ、映画を見てください」ということだけです。そして環境問題をどうすればいいかという問題意識を皆さんと共有できればと思います。60億人が努力をすれば、大きな違いをもたらすことができるでしょう。
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