米国株高や円安を受けて大幅高だが、週末の持高調整の売り買いが交錯し小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年06月05日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高や円安を好感して堅調となりましたが、目先的な過熱感が強いことに加え、週末ということで手仕舞い売りや持高調整の売りが多かったこと、また、週末に米雇用統計の発表もあり、波乱となる可能性があることなどから、積極的に買い上がる動きはなく、上値も限定的となりました。底入れ確認と見られることで売り叩き難く、週末の手仕舞いの買い戻しもあったのですが、方向感は出ませんでした。

 5月初め頃から相場に変化が見られました。3月の安値をつける過程やその後4月の高値をつけるところまではハイテク銘柄など業績の悪化が懸念される輸出関連銘柄の買戻しが中心で指数を押し上げたのもそうした値がさ銘柄が多かったのですが、連休頃からは出遅れ銘柄を物色するような動きになり、空売りの買戻しばかりではなかったように思われます。

 2009年3月期の決算の発表が出揃い、2009年1−3月期のGDP(国内総生産)の発表が出たところで、業績悪化を懸念して空売りしていた向きの買い戻しも一斉に入ったものと思います。昨年の暴落以来、こうした空売りの買戻しなど目先的な需給で株価を動かすことが多いような気がします。本日も三井不動産(8801)が年初来高値を更新するなかで、三菱地所(8802)は軟調、東洋ゴム(5105)が大きく値を下げたものの横浜ゴム(5101)は大幅高、などとちぐはぐな展開になっています。

 こうした、ちぐはぐな展開のときは恐らく「ロング−ショート」と言われる売りと買いを組み合わせるような持ち高を手仕舞いしていることが多いのです。自分が短期の売買を繰り返している人は市場参加者は誰もが短期の売買をしているものと思いがちですし、買うことからしか手掛けられない人は売りから手掛ける人がいるということを忘れがちなのです。相場は常に、さまざまな参加者があり、その時々に目立つ参加者がいるということなのです。今日はどんな相場でこれからどんな相場になるのかを考えるときにはどんな参加者が何をしているのか、を考えてみるのもいいと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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