プリウスだけじゃない。急拡大するハイブリッドカー戦線神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)

» 2009年06月05日 08時55分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
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 では、その乗り味はどうだろうか。実際に乗ってみると、大きさは「でかい」のひと言。高みから道路を見下ろし、ゆったりとクルージングする様はまさしく高級SUVである。

 しかしながら、その走りの印象はプリウスに通じる部分が多々ある。プリウスと同じスプリット(動力分割)方式のハイブリッドシステムであり、モーター性能が高いため、走り出しはスルスルとモーターだけで動き出す。その後、エンジンと協調しながら走るが、信号待ちで止まればスッとアイドリングストップモードに入る。モーターだけで走るEVモードも用意されており、乗っている印象は「大きくて豪華なプリウス」といった感じだ。

車内は広々。運転するときの視点はかなり高い(左)、純正カーナビにはエネルギーモニターも表示される(右)

 さらにレクサス RX450hでは、プリウスよりも遮音性能が高いため、よりハイブリッドカーの「静かさ」が際だつ。エンジンの音や振動もよく抑え込まれている。低速時から高速巡航まで、まるで高級ホテルのロビーにいるような落ち着きがある。一方で、アクセルを少し強めに踏めば、モーター+V6エンジンによって図太いトルクで加速する。スポーツカーのような軽快感はないが、高級車として十二分な動力性能もしっかりと確保している。

 さて気になる燃費性能は、JC08モード走行燃費で16.8キロメートル/リットル、10・15モード走行燃費で18.8キロメートル/リットル。新型プリウスのJC08モード走行燃費 32.6キロメートル/リットルには及ばないが、一般的なガソリン車と比較して後ろめたさを感じないだけのエコレベルは実現している。高級SUVであることを考えれば、破格の燃費性能だ。環境意識が高いけれど、ステータス感やゴージャスさも捨てきれない人には、おあつらえ向けのクルマと言えるだろう。

エコカーが「クルマ市場の主役」に

ホンダの「インサイト」

 レクサスRX 450hを試乗したあとに、プリウスフィーバーに沸いた5月の新車販売状況に目を向けると、ハイブリッドカーの販売台数は2万台を超えて販売台数全体の12.1%まで上昇していた。ハイブリッドカー以外の売れ筋も買い替え優遇税制(エコカー減税)対象車ばかりであり、まさに世は“エコカーにあらずんば、クルマにあらず”といった風潮だ。レクサス RX450hのように、ハイブリッド技術を用いて新時代への適応を図る動きは、今後さらに加速するだろう。

 ハイブリッドカーが今後どこまで拡大するか。自動車ビジネスの復活と活性化、関連市場の拡大など、さまざまな視点から注目しておく必要がありそうだ。

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