利益確定売りをこなして堅調だが雇用統計の発表を控えて上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月05日 08時25分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8750.24△74.96

<NASDAQ>1850.02△24.10

<為替:NY終値>96.56-96.62

利益確定売りをこなして堅調だが雇用統計の発表を控えて上値も限定的

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想以上に減少していたことなどから買い先行で始まったものの、小売企業の5月の既存店売上高が芳しくなかったことなどから、一時軟調となる場面もありました。それでも、証券会社の強気のレポートで原油価格が上昇したり、銀行セクターの投資判断の引き上げがあったことなどから堅調、ナスダック指数は大幅高となりました。週末に雇用統計の発表を控えていることから、上値を買い上がる動きも限定され、利益確定売りも多かったのですが、景気も株価も底入れ感が強く、堅調となりました。

 ダウ平均もようやく1月初めの高値水準に戻り、ナスダック指数は昨年10月初めの水準まで戻りました。原油など商品市況が好転していることがとりもなおさず景気回復を示しているという見方が強く、スタグフレーションへの懸念は今のところないようです。雇用に懸念が残るなかで、商品市況や株価が先走っているような感じもするのですが、センチメントは明らかに好転しており、商品市況の上昇や株価の上昇が逆に景気底入れ感を強め、雇用問題を解決することになるのかもしれません。いずれにしても指数も節目を抜けて底入れ確認となったことで、勢いがついているようです。

 個別にはセクターの投資判断引き上げを受けてJPモルガンチェースなど銀行株が高く、ゴールドマンサックスなども堅調となりました。原油価格や貴金属価格が上昇していることから、エクソンモービル、シェブロンと言った石油株、ニューモントマイニング、パブリックゴールドなど金鉱株も堅調となりました。一方、小売企業の5月売り上げが芳しくないことから売られるものが多く、ウォルマートやメーシーズ、コストコホールセールなど小売株は軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や目先的な過熱感が強かったことなどから売り先行となりました。それでも、幕間つなぎ的な材料株や小型銘柄を物色する動きや出遅れ銘柄を物色するような動きで底堅く、東証一部を見ても指数は軟調なのですが、値上り銘柄数が値下り銘柄数よりも多いと言う状況で底堅い展開となりました。過熱感が冷めるわけでもないのですが、物色対象が変化してうまく資金の回転が効いているような感じです。

 米国株が堅調となったことで、日本市場も再び上値を試す展開となりそうです。週末ということや米国の雇用統計の発表を控えて、最後まで買い切れるのかどうかという懸念はあるのですが、原油や貴金属の価格も上昇しており、昨日上げ一服となった資源関連銘柄などを再度物色するような動きとなるものと思います。節目を抜けて底入れ確認と見られ、買い方の回転は効いており、割安感が強い銘柄や出遅れ銘柄、上げ一服となった銘柄などを物色する動きとなるものと思います。為替も円安方向に振れたこと、特に対ユーロで円安が進んでいることから、ここのところもたついている輸出関連銘柄などにも買いが入ってくるのではないかと思います。

 目先的な過熱感は依然として強いのですが、物色の中身を見てみると買い方の回転が効いているようです。昨日も指数は軟調なのですが値上り銘柄が値下り銘柄よりも多いと言う状況であり、日経平均は9500円の節目を抜けたことで買い意欲も強まっているものと思います。本日も9800円を抜けて来るのかどうか、週末と言うことで手仕舞い売りなどもあり上値を押さえられる可能性も高いのですが、9800円水準を抜けて来ると10000円を意識するところまで一気に買い上がられる可能性もありそうです。下値は9600円台での底堅さも見られ、限定的となりそうです。

本日の注目点

◇5月の米雇用統計

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