雇用不安が頭をもたげ、利益確定売りに押される清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年06月04日 08時26分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8675.28▼65.59

<NASDAQ>1825.92▼10.88

<為替:NY終値>95.98-96.04

雇用不安が頭をもたげ、利益確定売りに押される

 朝方発表になった雇用指標は改善しているものの芳しいものではなく、注目されたISM(米サプライマネジメント協会)非製造業景気指数も前月よりも改善はしているものの予想を下回り、これらを嫌気する動きに加え、利益確定売りがかさんで一時大幅下落となりました。投資判断の引き上げなども見られたのですが、とりあえず節目と見られる水準を抜けてきたことで早めに利益を確保しておこうと言う動きも強かったようです。引け際には底入れ感が強いことなどもあって買戻しも入り下げ幅を縮小しましたが戻りきらず、軟調となりました。

 経済指標の改善は見られ、景気底入れ感も出ているのですが、雇用に対する懸念は根強く、週末の雇用統計の発表を前に強気になりきれない、と言う感じです。商品市況などが上昇を続けていることでもわかるように一時期の信用収縮、資金不足するような状況からは脱し、景況感も悪くはないのですが、雇用に対する不安が強いために、かつてのバブルのように一気に景気が回復するということでもなく、徐々に指標の改善を確認しながら上値を追って行く、ということなのでしょう。

 個別には原油価格の下落を受けて、エクソンモービルやシェブロンといった石油株が軟調、前日急騰したアルコアやデュポンなども大幅下落となり、指数を押し下げました。予想を下回る決算を発表したトールブラザーズも売られ、シティグループやJPモルガンチェースといった金融株も軟調となりました。業績の回復期待からマクドナルドやマイクロソフトが高く、投資判断を「買い」で開始したことが好感されてウォルマートも高いなど個別に物色される格好となっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や外国人が買い越しと伝えられたことなどから堅調となりました。ただ、円高に振れたことや目先的な過熱感も強く、上値も限定的となりました。商社株や非鉄株など利益確定売りに上値を押さえられながらも堅調な展開となり、地合いの好転を物語っていましたが、先物へのまとまった売りが出るような場面もあり、目先的な過熱感から利益確定売りもあって最後まで上値の重い展開となりました。

 米国市場が軟調となったことに加え、昨日まで日経平均が6連騰となっていたことなどから軟調となりそうです。ただ、景気底入れ期待は強く、節目を抜けて底入れ確認となったこともあって、底堅さは見られるものと思います。ユーロで円高となったことや為替が円高基調にあることは気になりますが、水準としてはまだまだ許容される水準でもあり、利益確定売りはかさんでも下値をむきになって売り叩くような動きは手控えられるものと思います。商社株や非鉄株は利益確定売りに押されるものと思われますが、ディフェンシブ銘柄など出遅れ感が強い銘柄がどこまで下支えとなるかといったところでしょう。

 一気に10000円台回復とはいかず、目先的な過熱感も強いことから、いったん押し目を確認するような展開となって来るものと思われます。ただ、基調は強含みと考えても良いと思われ、底堅さも見られるのでしょう。安く寄り付き、そのまま調整となるようであれば、一目均衡表の転換線の水準でもあり、また、節目と見られる9500円水準まで調整となる可能性もありそうですが、9500円水準での底堅さを確認することになり、過熱感が冷めれば10000円を抜けて来るものと思われます。

本日の注目点

◇1−3月期の法人企業統計(財務省)

◇5月の車名別新車販売台数(自販連)

◇欧州中央銀行(ECB)定例理事会

◇英イングランド銀行(BOE)が金融政策を決定

◇バーナンキFRB議長が講演(ワシントン)

◇1−3月の米労働生産性(改定値)

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