『週刊大衆』の編集長はこう考える、ヤクザと正義とヘアヌード集中連載・“週刊誌サミット”(2/3 ページ)

» 2009年06月03日 08時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

雑誌が売れなくなってきている理由

 さきほど元木さんの方から「『週刊大衆』は部数で頑張っている」というお話があったが、そんなことはない(笑)。我々も相当、部数は落ち込んでいる。ピーク時と比べ半分とまではいかないが、落ち込んでいることは確か。このままでは、採算割れするかもしれない状況だ。

 ときどき私は自分の仕事を離れて、こんなことを考えている。もし今の仕事をしていなければ何をしているのだろうか、と。この二十数年間、出版社で雑誌を作り続けていなければ、「週刊誌を読むのかな?」ということを考えている。そして「たぶん……自分は雑誌を読まないだろう」「自分の年齢で全く別の仕事をしていれば、毎週のように週刊誌は読むのだろうか……」などと、自分に問いかけている。

 たぶん今の週刊誌は、人々のサイズに合わなくなってきていて、メディアとしてほかのものにとって変わられようとしているのだろう。紙に刷られた240ページほどの形のものが、だんだん世の中で“収まり”が悪くなってきている。しかし雑誌的なニュースや情報といった、楽しみは残るだろう。

 なのでたとえ他紙が倒れても、新しい時代が必ず来ると信じて、私のところだけは生き残っていたい(笑)。そこまではいろんなものと楽しく、戦っていきたいと思っている。

「なぜ?」「どうして?」を考えない日々

 最近「面白いなあ」と思ったことがあったので、紹介していおく。さきほど『週刊アサヒ芸能』の佐藤元編集長も言っていたが(関連記事)、『週刊大衆』でも毎週、ヤクザの記事を取り上げている。そして、ヤクザの記事を電車の中刷り広告で紹介している。しかしヤクザの記事が大きすぎると、JRから文句を言われる。ヤクザ記事の広告が大きかったらいけないのか? それとも小さければいいのか? と聞くと「小さければいい」のだそうだ(笑)。

 さらにJRの担当者に話を聞くと、ヤクザを批判していれば広告が大きくても大丈夫だそうだ。ちなみに小さくしないといけないと言われたのは、「6代目山口組 直参(じきさん)87人の全系譜」という記事だ。……確かに批判をしているような気はしないが、ホメている気もしない。恐らく大半の健全な生活を送っている方にとっては「どうでもいい情報」なのかもしれない(会場内笑い)。

 今、山口組には87人の直系の組長……「直参」と呼ばれる人がいて、その人たちは元々、誰々の家来だとか、どこかの系譜から出てきているとか、こういったことを淡々と書いてある記事だが、なぜこの(記事を紹介する)広告が大きかったらいけないのか。このことが、どうしても分からない。

 (車内の中吊り広告については)JR関連の広告取り扱い会社が、毎週“検閲”している。(中吊り広告を掲載できないことについて)会社内で憤っている人もいたが、私は「なぜダメなのかが、全く分からない」という気持ちだけ。いずれ聞きに行きたいと思っているが、このほかにも「なぜ?」ということがいっぱいある。「なぜ?」「どうして?」などを考えないまま、日々過ごしているのではないだろうか? それは私だけではなく、ここにいる方(編集長または編集長OB)や読者の方も、そうかもしれない。

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