米国株高や円安を好感する動きはあったのだが目先的な過熱感もあり上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年06月02日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高などから買い先行となったものの、さすがにここまでの上昇で過熱感が強いことや利益確定売りを急ぐ動きから上値の重い展開となりました。それでも、節目と見られる水準を抜けたことで買い気は強く、まとまった利益確定売りが出ても売り叩くような動きは見られませんでした。内需関連銘柄も値ごろ感からの買いが一巡となったことで軟調なものが目立ちました。

 本日の相場は上値の重い展開となりましたが、原油価格の上昇などを見ているとまたも「デジャヴュ(既視感)」と言う言葉を思い出しました。「いつか来た道」ということで再び市場も盛り上がっていますが、果たしてここからどんな動きとなって来るのでしょうか。為替の水準も金融バブル前とは全く違う水準ではあるのですが、そもそもが「円キャリー取引」も金融バブルの一種だとすれば、また相した動きが出てくるのかもしれません。

 原油価格がニューヨークのWTI先物市場でじりじりと値を上げ、貴金属価格もなんだかんだと言って上昇しており、世界的な信用収縮の動きは明らかに再び回転をもとの信用拡大へと向かっているようです。世界的な金融緩和を受けて、かつての「円キャリー取引」が「ドルキャリー取引」「ユーロキャリー取引」にならないとも限らず、実態の個人消費などが伸びる分にはいいのですが、投機的な取引に向かうのかどうかは大いに注目すべきでしょう。

 かつて来た道、と言っても経済の拡大はとても良いことで、世界的に豊かになるという方向にいくかどうか、取りあえずは米国の雇用や個人消費動向に大いに注目しておくべきでしょう。米国をはじめ、世界的に個人消費が伸びてくるかどうかが、以前とは違う形での経済の拡大に繋がってくるのでしょう。株価上昇においてはいくらでもバブル時のように上昇してもいいのでしょうが、要は実態を伴ったものかどうかということなのではないでしょうか。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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