初心者が読むべき投資入門書とは――金持ち父さんへの道現役東大生・森田徹の今週も“かしこいフリ”(1/3 ページ)

» 2009年06月02日 07時00分 公開
[森田徹,Business Media 誠]

著者プロフィール:森田徹

1987年生まれ、東京大学経済学部経営学科在学中、聖光学院中高卒。現在、東大投資クラブAgents自民党学生部などのサークルに所属している。投資・金融・経営・政治・コンピュータ/プログラミングに興味を持つ。リーマン・ブラザーズ寄付講座懸賞論文最優秀賞、日興アセットマネジメント主催「投信王 夏の陣」総合個人優勝。主な著書に『東大生が教える1万円からのあんぜん投資入門 』(宝島社)


 先日、AgentsのWebサイト経由で温かいメールをいただいた。

 Agentsに所属されている森田さんが執筆された『東大生が教える1万円からのあんぜん投資入門』を読ませて頂きました。金融商品を広く浅く知るにはよかったのですが、さすがにこれだけで投資を始めるには情報が不十分で、一部の内容は他の株本にゆずると書かれた章もありました。

 そこで、多少難しくても構わないので、投資に関するお勧めの本がありましたら、いくつかご紹介頂けないでしょうか。何でもそうですが、人によって合う、合わないがありますので、本屋で内容を確認し、自分でいいと思ったものを購入したいと思います。

※本屋には行ってみたのですが、数百冊もの投資関連本があり、その中から選定するのは非常に困難でした。

 最近優しさに飢えている筆者は、懇切丁寧に答えようとしている内に返信内容がコラム1本分の長さになってしまった。そこで今回は「株式投資で利益を出すには、どんな勉強をすればいいの?」というテーマで話をしたい。むろん筆者自身も学びの徒であり、まだまだ学ぶべき事は多いということは了承した上で読んでいただきたい。

黄緑本は何の本だったのか

黄緑本こと『東大生が教える1万円からのあんぜん投資入門』

 『東大生が教える1万円からのあんぜん投資入門』(以下、黄緑本)は“勉強せずに、そこそこ利益を出す”という書籍で、金融商品に構っている暇のない方向きの内容である。気になる現在までの売れ行きは「初版が5000部だったら、とうの昔に重版がかかっているはずなのになぁ……」とぼやく程度である(黄緑本は初版1万部)。そんな黄緑本は非常に奇妙な立場にある本なので、あの本でお伝えしたかったことや執筆裏話を交えながら、株式投資における各専門書籍の位置付けをお伝えしていこう。

 冒頭のメールでも触れられているが、黄緑本は金融商品を広く浅く知るための本だ。まず、「なぜわざわざそんな本を書かなければいけなかったのか」ということから話を始めよう。

 第一に言いたかったのは、「何かしらの基準をもって全ての金融商品を同列におくと、それらのリスクとリターンは“ほぼ”比例関係にある」ということだ(効率的市場仮説や無裁定理論の懐疑論者である筆者はこれらが完全に比例関係にあるとは思えないが、大体のケースではそう考えた方が楽だろう)。

 「数字を出すと一般読者には読まれない」というジレンマを抱えていたので、ギリギリ出せる範囲の数字ということで、期待収益率を銀行利率というなじみのある数字と比較。「おいしそうに見える金融商品も実際にはおいしくはない。だから、だまされないように勉強しよう」と、国内から海外まで、FIXED INCOME(固定金利商品)からリスク商品まで、金融商品全体を横断的にカバーした。統計学も標準偏差(σ)さえも持ち出さず、堅苦しい専門用語も参考書籍からの引用もほとんどせずに、最低限の数字を使ってこれだけの話を仕立てあげたのだから、本当はもっとほめてほしかったりする。

 リスクが高いため、安定運用を目指す人には不向きとも言えるブラジル・レアル債券のファンドのパンフレットを、さる大手証券が平気な顔をして筆者の祖父母に送ってくるようなご時世。黄緑本はゾウやカッパが踊るふざけた装丁ではあるが、社会の金融商品知識の向上に少しは貢献できたのではないかな、と思ってはいる。

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