広告主をダマし続けていいのか? これからの『SPA!』のあり方集中連載・“週刊誌サミット”(3/3 ページ)

» 2009年05月29日 08時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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“美しい状態”を創出したい

 雑誌というのはお金をもらいながら、作った記事やコンテンツを、習慣として読んでくれる読者を持っているということ。この点はものすごく強い点だと思う。例えばテレビやラジオはタダ。しかし新聞はといえば、習慣として買わせているので、NHKのようなところがある。街の中でお金をもらって読んでくれているのはスポーツ新聞と雑誌だけだ。

 僕自身、あまりWebには詳しくないが、各社がどこで売っているのかとか、扶桑社のデジタルチームが『SPA!』のコンテンツをどこで売っているとか、などを見てきたが、「これは売れないな」ということに気付いた。なぜかというと、扶桑社のWebサイトで『SPA!』で売っているからだ。

 『SPA!』のファンという人はいるかもしれないが、扶桑社のファンであるという人はよっぽどオカシイ人(会場内笑い)。「扶桑社の作るものは全部好きだ」という人がいれば……その人とは付き合いたくない。

 あと電子書籍で『SPA!』を扱っているのだが、なんの脈絡もない中で売っているので、たいして売れていない。『週刊現代』『週刊ポスト』『週刊文春』などがあって、その周辺に存在している『SPA!』まで雑誌ジャーナリズムに含めるとすると、携帯電話やネットの中にコンビニの雑誌売り場を作らなければならないと思う。

 もし携帯電話の中に雑誌売り場を作っても、一時しのぎの売り上げにしかならないかもしれない。しかし従来の取次ぎから書店に、というシステムではなく、『SPA!』を読んでみたいという読者にも、(新たなシステムだと)雑誌が届くのではないだろうか。

 『SPA!』は20代〜30代を読者ターゲットにしているが、ここ3年くらい……20代の読者が減ってきている。いなくなったとまでは言えないが、その代わり、昔だったら50代の読者は2%もいなかったが、今は7%ほどに達している。これは新入生が入ってきてなくて、ずっとみんな“留年”しているという、ズボラな大学のよう(笑)。我々は新入生を入れて、卒業生を別の雑誌に入学させなければならない。こうした“美しい状態”を創出したいので、これかも週刊誌で頑張っていきたい。

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