朝日を襲撃した実行犯、相撲の八百長……。それでも週刊誌が売れなかったワケ集中連載・週刊誌サミット(1/4 ページ)

» 2009年05月28日 08時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 毎週月曜日、小学館から発行されている総合週刊誌といえば『週刊ポスト』だ。ライバル誌『週刊現代』と同様、30代〜40代の男性サラリーマンが主な読者層。

 かつては電車に乗れば週刊誌を読んでいるサラリーマンの姿を目にしたが、最近では携帯電話をいじっている人の姿をよく見かける。その光景を裏付けるように、週刊誌の部数は減少傾向にある。『週刊ポスト』は長きに渡って、週刊誌の中で最も売り上げていたが、実売部数トップの座を『週刊文春』に明け渡してしまった。

 2008年の実売部数はトップが『週刊文春』(51万部)、次いで『週刊新潮』(44万部)……『週刊ポスト』(30万部)は3位に甘んじている。

※この記事は、5月15日に開かれた“週刊誌サミット”の内容を掲載しています。

スクープは編集者が決めるものではない

『週刊ポスト』の海老原高明編集長

元木昌彦(司会):(1959年に)『週刊現代』(講談社)が創刊してから、10年後に『週刊ポスト』(小学館)が誕生した。小学館は当時『週刊現代』の編集長とスタッフを引き抜いて、『週刊ポスト』を作った。私が就職する少し前だったが、当時の出版界では大変な事件だった。

 その後『週刊ポスト』は部数を伸ばし、第1位の座を独走していく。私が『週刊現代』に配属されたころも、編集長から「『週刊ポスト』を抜け」「なにがなんでも部数を抜くんだ」と言われ続けてきた。

 そして現在……『週刊現代』ほどではないようだが、『週刊ポスト』も苦しい時期に入っている。今の『週刊ポスト』が抱えている問題も含め、海老原元編集長に話をうかがいたい。

海老原高明:僕は会社も辞めていませんし、後輩もいるので、今の苦しい状況について「頑張れよ」と激励するしかない。自分の経験から話をすると、やはり週刊誌というのは売ってナンボだと思う。

 スクープとは何か? といえば、「これがスクープだよ」と編集者が決めるのではなく、やはり読者が決めるものだ。自分がどんなにスクープだと思っていても「売れなかったらそれはスクープではない」と、僕はそう思っている。

 総合週刊誌……特に『週刊ポスト』『週刊現代』『週刊新潮』『週刊文春』は部数を稼いで、いろんな人に読んでもらう。その中で雑誌ジャーナリズムを読んでもらう、という順番だと思う。特に『週刊ポスト』は、極端に言えば「ヌードで売って、雑誌ジャーナリズムを読ませる」。なので読者の購入動機が「袋とじのヘアヌード」であっても、全然かまわないのだ。

 疲れたサラリーマンが350円を出して、袋とじヘアヌードを目的に雑誌を買う。そしてその雑誌の中に、良質な雑誌ジャーナリズムが3ページも入っている。これを読んだサラリーマンが「役人はこんな悪いことをやっているのか」という風に感じてもらうことが、総合週刊誌のジャーナリズムだと思う。

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