芳しくない経済指標や財政赤字への懸念から大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年05月22日 08時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8292.13▼129.91

<NASDAQ>1695.25▼32.59

<為替:NY終値>94.39-94.45

芳しくない経済指標や財政赤字への懸念から大幅下落

 英国債の格下げなどから米国債の格下げが取りざたされ売り先行で始まり、午前中に発表された新規失業保険申請件数が高止まり、景気指数も前月よりも改善はしているものの予想を下回ったことなどから大幅下落となりました。ドル建て資産の売り圧力が強まり、景気に対する不安も増大し、大型株、景気敏感株を中心に売りが優勢となりました。個別株のリスクに敏感に反応したというよりは米国経済そのものに対する懸念から売り急ぐ場面もあったものと思われます。最後はさすがに買戻しなどもあり、下げ幅を縮小しましたが大きな下落となりました。

 節目と見られる8500ドルを抜け切れなかったことで利益確定売りや戻り売りがかさんだことも大幅下落の要因となっており、その節目を抜けるだけの経済指標の好転などの材料が欲しいということでしょう。自動車会社への懸念は破綻を織り込む形となっており、市場への影響は少ないのでしょうが、ドル資産からの逃避の動きが出ていることが気になるところです。景気回復の遅れが取りざたされており、早期の景気回復の兆しが見られないとますます見切り売りがかさむこともありそうです。

 個別にはキャタピラーやアルコアといった主力景気敏感銘柄が大きく売られ、原油価格が上げ一服となったことからエクソンモービルやシェブロンも軟調となりました。金融子会社の政府からの資本注入が報道されたGM(ゼネラルモーターズ)は大幅高、投資判断の引き上げが伝えられたJPモルガンチェースやシティグループなどの金融株の一角やジュニパーネットワークスも高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高を嫌気して軟調となりました。それでも、外国人場買い越し基調ということに加え、市況回復を好感した非鉄株に買いが入るなど物色意欲も見られ、相場全体の底堅さも見られました。ただ、これまでの戻り相場を牽引してきたハイテク銘柄などの輸出関連銘柄は米景気回復の遅れへの懸念や円高に反応し軟調なものが目立ちました。

 米国株が大幅下落となったことや円高(というよりも「ドル安」)が一段と進んだことから、売り先行となりそうです。半導体BBレシオの改善など好材料も見られるのですが、1ドル=95円を割り込んだ為替レートの影響は大きいものと思います。昨日はまだハイテク銘柄などを改めて売り込むような動きはありませんでしたが、この為替レートや米国株安を見て、輸出関連銘柄を売り直す動きが出てくるのかどうかは大いに注目されます。一方で原油価格は上げ一服となりましたが金価格が上昇していることなどから非鉄株が、また、円高メリットのある電力株などのディフェンシブ銘柄などが物色されるかどうかも指数を下支えする意味で注目されます。

 日経平均は9300円から500円の上値を確認した格好となるかもしれません。今度は下値を試す格好で、9000円水準、あるいは9000円を割り込んで8800円水準で下げ止まるのかどうかを確認する可能性もありそうです。ドル資産からの逃避の動きで「日本買い」となって来るかどうかも注目されますが、いったんは下値を試す動きとなるものと思います。景気底入れを示すような経済指標の発表や円高が一服となれば、もう一度9300円から500円の節目を試すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇白川日銀総裁会見

◇4月の全国スーパー売上高(日本チェーンストア協会)

◇決算・3月期:英ブリティッシュ・エアウェイズ

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