利益確定売りやFRBの慎重な見通しを嫌気して軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年05月21日 08時38分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8422.04▼52.81

<NASDAQ>1727.84▼6.70

<為替:NY終値>94.9-94.96

利益確定売りやFRBの慎重な見通しを嫌気して軟調

 慎重な決算見通しの発表や投資判断の引き上げなどが交錯するなか、大手銀行株の大型増資を好感する形で金融株を中心に一時大幅高となる場面もありました。ただ、FRB(連邦準備理事会)が経済見通しを下方修正、2009年の成長率見通しを引き下げ、失業率予想を引き上げたことから景気後退懸念が薄れて、楽観的な見方が強まっていたところに水を差す格好となり、軟調となりました。FRBに悲観的な見方が出たことで、改めて芳しくない決算などに反応する動きとなったものと思います。

 ダウ平均が8500ドルと言う節目にあったことで利益確定売りや戻り売りが出やすいところで芳しくない業績見通しやFRBの悲観的な見方が強まったことで売り急ぐ結果となったものと思います。特に金融不安が払拭され、信用収縮懸念が薄れ、住宅価格などにも底入れ感が強まっており、後は雇用の問題、そしてそれに絡む個人消費の問題と思われていただけに失望感に繋がったのでしょう。それでも、パニック的な売りに繋がることもなく、センチメントに大きな変化はなく底堅さも垣間見られ、目先的な調整の段階ではないかと思われます。

 個別には市場予想を上回る決算を発表したターゲットが堅調、投資判断の引き上げのあったマクドナルドも高くなりました。政府が出資し、金融子会社の筆頭株主になると報じられたGM(ゼネラルモーターズ)が大幅高、指数を下支えする格好となりました。金融株はバンクオブアメリカは大型増資を好感して高かったのですがJPモルガンチェースやシティグループなど軒並み下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の市場は円高や米国市場のもたつきを嫌気して上値の重い展開となりましたが、最悪といわれたGDP(国内総生産)の発表が予想通りとなったことからの悪抜け感から持高調整と見られる買いも入り、一時大幅高となる場面もありました。決算が出揃い、GDPも発表されるなかで「最悪期は脱した」という気持ちが強く、上値も重いのですが堅調となりました。

 米国市場が軟調となったこや為替が円高に振れたことから軟調な展開が予想されます。シカゴ市場(CME)の日経平均先物が比較的堅調となっていることから、大きな下げとはならないのかもしれませんが、目先的な調整は否めないものと思います。物色対象が輸出関連銘柄などからディフェンシブ銘柄の底上げにしっかりと移行できれば、指数は底堅い展開となって来るものと思います。中国など新興国の景気回復に対する期待もいったんは行き過ぎた感もあり、全体的な調整は否めないのかもしれません。

 9300円の節目を再び抜けた格好となりました。ここからは9300円から500円のもみ合いとなるのか、あるいはまだ、9300円から500の水準は「上値」として再び下値を確認する格好となるのかが注目されます。この為替のなかで9300円台を保てるようであれば、相場も上向き、9300円から500円のもみ合いから9500円の節目を抜けるようになるのでしょうが、9300円台をあっさりと割り込むと、また、8800円から9000円の下値水準で下げ止まるのかどうかを確認するような動きになってしまうのでしょう。

本日の注目点

◇日銀政策委・金融政策決定会合(22日まで)

◇3月の第3次産業活動指数(経産省)

◇台湾の1−3月期GDP

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