GDPの発表で悪材料出尽くし感もあり買い先行で始まるも、円高を嫌気して上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年05月20日 15時32分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 市場最悪のGDP(国内総生産)の下落に加え、昨日の上昇や円高、米国株のもたつきの割には堅調な相場となりました。個別に反応する形で原油高に反応するもの、中国の経済政策に反応するもの、出遅れ感が取りざたされるものなどが買われ、医薬品株の一角や石油関連株、鉄鋼株に商社株、海運株に小売株の一角などが高く、円高を嫌気してハイテク銘柄や自動車株に安いものが目立ちました。総じて景気底割れ懸念や信用収縮懸念が薄れたことで基調は強含みと言うことなのでしょう。

 何となく盛り上がりに欠ける展開でしたが、個別の材料に反応して相場本来の動きとなった感じです。市場参加者がそれだけ増えたということではないかと思います。「最悪」(?)と思われる決算発表も出揃い、GDPも発表になったことであく抜け感からの持高調整として買いが入ったのかもしれません。指数は9300円の節目水準で小動きとなりましたが、確かに相場は少し変わったのかもしれません。

 昨日の大幅高の相場でもこれまで3月からの上昇のときはハイテク銘柄や自動車株などの買い戻しが中心と見られ、業績面で底堅いディフェンシブ銘柄、医薬品株や電鉄株、通信株などが売られるなかで大きく値を戻すような展開でした。そして、指数の上昇を牽引する銘柄が一服となるときなどに思い出したようにディフェンシブ銘柄などが散発的に買われることが多かったのではないかと思います。

 それが、昨日の相場でも医薬品株や通信株などディフェンシブ銘柄も堅調となり、ほぼ全面高となっていました。それに続き、本日のように個別の材料にそれぞれしっかりと反応するような動きになったところを見ると、相場の流れも変わったのかもしれません。ここから一気に9500円の節目を抜けるには景気回復の兆し、4月以降の経済指標の好転などが必要だと思いますが、投資ファンドの空売りが一巡したことでも分かるように、相場の変化、市場参加者の変化は明らかではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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