昨日の大幅下落の反動や米国株高、円安を好感して大幅高(2/2 ページ)

» 2009年05月19日 16時07分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 前日の大幅下落の反動や円安を受けて大幅高となりました。昨日の相場でも9000円水準での底堅さを確認したことで改めて底堅さが見られ、買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。ただ、積極的に買い上がるには明日のGDP(国内総生産)のは発表が気になり、上値も節目と見られる9300円水準では重く、大幅高ながらも戻りも限定的、何とも盛り上がりに欠ける展開となりました。

 東芝(6502)への投資ファンドからの空売りが一段落したとの新聞報道があり、電機株などが総じて堅調ななかで東芝は軟調となりました。相場が悪くなると「空売り」が悪者にされて、「空売り規制」などが出てくるのですが、実際には空売り規制ということは買戻しを規制することであり、将来の買い手を減らしていることにもなるのです。

 この3月からの相場を見ても(実際には2月から始まっていましたが)、空売りの買戻しが相場を押し上げる大きな要因になっていました。「アジア市場が高いから日本も高い」などというものと同じで、本来のあるべき姿を分かりもせずに「空売り=下落要因」として悪者扱いするのもおかしな話なのです。先物の売りが裁定取引の売り誘うなどという理屈も同じことで、裁定取引などは常に中立要因であるはずなのです。

 実際に空売りが少ない、新興市場の銘柄はいったん下げ始めるとなかなか下げ止まらなくなるのも同じ要因なのです。空売りが入れば「下がれば買い」と言うことになるのですが、空売りでなくて下げている場合は買うタイミングが新たに「買える水準」でしかないのです。日々の動きでも空売りが大きく入ったときは上値が案外軽く、空売りが入り難いときはいつまでも下がり続けてしまうのです。「売り」と言う言葉に惑わされず、実際に市場では何が起こっているのかを把握しておくことが次の投資に繋がるのです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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