米国株安や円高、新型のインフルエンザ拡大の影響が懸念されて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年05月18日 15時57分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9038.69円 ▼ 226.33円
売買高 21億0651万株
日経平均先物 9080円 ▼190円
売買代金 1兆3346億円
TOPIX 859.71 ▼21.94
値上がり銘柄 287銘柄
東証マザーズ指数 352.80 ▼2.54
値下がり銘柄 1348銘柄
日経ジャスダック平均 1059.32円 ▼0.29円
変わらず 67銘柄
騰落レシオ 96.42% ▼5.39%

日経平均

米国株安や円高、新型のインフルエンザ拡大の影響が懸念されて大幅下落

 先週末の大幅高の反動に加え、週末の米国市場が軟調となったことや円高が進んだことなどから売り先行となりました。先物を筆頭に売り気配から始まるものも多く、加えて新型インフルエンザの感染が拡大したことから経済への影響も取りざたされて見切り売りや手仕舞い売りがかさみ大幅下落となりました。目先筋の買戻しが入り下げ渋るところでも売りなおされ、節目と見られる日経平均9000円を割り込むところまで売り込まれました。

 後場に入ると円高一服となったことから目先筋の買戻しも入り底堅くはなったのですが、戻りも鈍く、戻りの鈍さを見て売り直されるといった状況で方向感のない展開となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられていたことから節目と見られる水準を割り込んで売り叩かれることはなく、インフルエンザ関連銘柄が指数を下支えするように大幅安ながらも底堅さは見られました。ただ、早めの買い戻しが一巡した後は見切り売りもかさみ結局は安値圏での引けとなりました。

 小型銘柄も見切り売りに押されて軟調となるものが多く、主力銘柄ほどではないにしろ指数も軟調となりました。東証マザーズ指数、二部株指数、日経ジャスダック平均は揃って軟調となりました。先物はまとまった売り買いも散見されましたが、節目を割り込むような売り方や戻りを煽るような買い方もなく、目先筋の売買が中心となっていたようで、先物が主導す動きはあまり見られませんでした。

 先週末で決算発表もほぼ出揃い、次の展開が待ちたいところで為替が円高に振れたことやインフルエンザの感染拡大などの話題に敏感に反応したということでしょう。9500円の上値の節目を確認し、ここまでで「思ったほど悪くない」と言う決算を織り込んだとすれば、「次」の展開、材料を探って、取りあえずは手仕舞い売りなどからの押し目を確認するということなのでしょう。9000円水準となるか、8800円水準となるかあるいは8500円近くまで押し目を探るかが注目されますが、目先的な過熱感が薄れたわけでもなく、為替やインフルエンザの影響次第ではもう少し調整が続くことになりそうです。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 基準線にサポートされて下げ渋りとなりました。ただ、まだRSIやストキャスティックスの水準は高く、いったん遅行線が日々線のサポートを確認するようなところまで下落するか、あるいは日柄整理が必要でまだ上値の重い状況、戻りの鈍い展開なのではないかと思います。いずれにしても遅行線が日々線に絡んでから反発となって来るのではないかと思います。

TOPIX

NYダウ

 日経平均と同じような形になりました。基準線にサポートされてはいるものの、RSIやストキャスティックスはまだまだ調整不足であり、値幅か日柄の調整が必要ということなのでしょう。遅行線が日々線のサポート確認するような下落、あるいは遅行線が日々線を意識するようにもみ合いの中で戻り高値をつけたところまで日柄の整理と言うことになりそうです。

円相場

NYダウ

 雲の下限でサポートされた格好は変わらないのですが、遅行線が雲に突っ込んできており、いったんは雲を割り込む場面もあるのかもしれません。3月安値水準=1月高値水準=青い点線である1ドル94円水準が節目と見られ、この水準での底堅さを何度か確認することになるのかもしれません。ストキャスティックスは底値圏にあるのですが、RSIは下値余地もあり、いったん節目を確認すれば過熱感もなくなり反発となりそうです。

銘柄ピックアップ

円高やインフルエンザ拡大に振らされる展開

ダイワボウ(3107) 358 △80、 シキボウ(3109) 185 △50

 ストップ高買い気配で比例配分となりました。神戸、大阪で新型インフルエンザが拡大、マスクが売り切れとなったことなどから繊維株が軒並み大幅高、朝方から買いものを集めて寄り付かず、ストップ高比例配分となりました。

トヨタ(7203) 3560 ▼30

 円高が伸展、同社の想定レートである95円を割り込んだことから、収益の落ち込みを嫌気して売られ、軟調となりました。それでも、新型ハイブリッド車が本日から発売され、受注が好調ということで、下げも限定的となりました。

パナソニック(6752) 1344 ▼111

 先週末の引け後に決算を発表、連結最終利益が2年連続で大幅赤字と発表されたことや為替が円高に振れていること、また、投資判断の引き下げなどもあり、大幅下落となりました。

日油(4403) 376 △14

 新型インフルエンザが拡大するなかで、国立感染症研究所などと共同で万能ワクチンを開発していると報じられ、インフルエンザ関連銘柄の一つとして物色され大幅高となりました。

スズキ(7269) 2040 △40

 自動車株など輸出関連銘柄が大幅下落となるなかで逆行高となりました。インド市場などアジア市場の比率が高く、円高の影響を受け難いことなどが好感されて、値動きの良さから買戻しを急ぐ動きもあったものと思います。

大日本印刷(7912) 1146 △23

 先週末に決算を発表、前期(2009年3月期)は上場来初の連結最終赤字となったが、今期(2010年3月期)はエレクトロニクス分野の伸びなどから、連結経常利益は減少となるものの最終損益は黒字に転換すると発表、配当予定を据え置いたことも好感されて堅調となりました。

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