小売売上高の予想外の減少を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年05月14日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8284.89▼184.22

<NASDAQ>1664.19▼51.73

<為替:NY終値>95.29-95.35

小売売上高の予想外の減少を受けて大幅下落

 朝方発表になった4月の小売売上高が予想に反して減少となったことから売り先行となりました。ドル安メリットで底堅さが見られた銘柄なども足元の景気底入れの遅れを気にして売り直されたことで全般に売り急ぐ展開となったものと思われます。半導体株への欧州での制裁金の問題や自動車株の破綻の問題が燻るなかで景気底入れが遅れるのとの懸念が強まり、ここのところの戻り相場も一服となり、押し目を探る動きとなっているようです。景気対策の効果を期待すると同時に財政収支に対する懸念も取りざたされ、手仕舞い売りがかさんだ面もあるようです。

 大きなセンチメントの変化はないのでしょうが、景気の早期回復を期待して買われていた分、失望感も出たようです。ただ、これで景気回復期待がしぼむということでもなく、期待したほどのスピードでの回復が望めないことが認識されたということでしょう。金融不安や信用収縮懸念が薄れたことで個人消費など景気そのものにも直接的な数字で表れる効果が期待されていただけにいったんは失望されたものと思います。ただ、金融不安や信用収縮懸念、雇用不安が徐々に薄れており、景気回復に向かっていることは確かなことであり、紆余曲折はあるのでしょうが、基調は戻り歩調と見ておいていいものと思います。

 個別には欧州での巨額の制裁金の支払いを命じられたインテルは堅調な始まりとなったものの結局軟調、逆にGM(ゼネラルモーターズ)は相変わらず破綻懸念が根強く売り先行となったものの、値ごろ感からの買戻しもあり堅調となりました。景気回復の遅れを懸念してIBMなどハイテク銘柄が軟調、JPモルガンチェースやシティグループなど金融株も軒並み軟調となりました。原油価格も下落となったことでエクソンモービルやシェブロンなど石油関連銘柄も安く、ウォルマートなど小売株も軟調となり指数を押し下げる要因となっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場のもたつきや円高を嫌気して上値の重い展開となりました。それでも輸出関連銘柄が売られる一方でこれまで出遅れていたディフェンシブ銘柄、食品株、医薬品株、電鉄株、通信株などが決算動向をにらみながら買われ、総じて底堅い動きとなりました。外国人も売り越し基調になったものの、下値を売り叩くというよりは持高調整で銘柄を入れ替えているような感じで、売り要因とならず、底堅さが見られました。

 米国株が大幅下落となったことや為替が円高に振れたことから軟調な展開が予想されます。ハイテク銘柄や自動車株が主導して戻りを試す展開となりましたが、ディフェンシブ銘柄などにも物色対象が広がり決算動向にも敏感に反応するなかで、いったんは戻り相場も一服となって来そうです。注目された水準である1月高値や昨年11月の高値水準まで戻ったところで底入れ感は高まったのですが、「底入れ確認」となるにはもう少し時間が必要ということなのかもしれません。

 節目と見られる9300円水準は保っているのですが、戻りも鈍く、この水準を割り込むようであれば、下値は8800円から9000円前後を意識することになりそうです。一気に調整と言うよりは戻りの鈍さ、9300円から500円水準での上値の重さを確認しながら逆に押し目を確認することになりそうです。8500円程度まで下落の可能性もありますが、9000円を意識する水準や9000円を割り込むような場面では買戻しや押し目買いも入って来るものと思われます。本日はシカゴ市場の日経平均先物の終値(9110円)意識するところでは下げ渋るものと思われますし、輸出関連銘柄などが売られてもディフェンシブ銘柄の底堅さが見られれば指数も底堅くなるのでしょう。

本日の注目点

◇4月の米卸売物価指数

◇決算・3月期:ソニー(6758)、王子製紙(3861)、エーザイ(4523)、コニカミノルタHD(4902)、東京エレクトロン(8035)、味の素(2802)、日本テレビ放送網(9404)、長谷工コーポレーション(1808)、日清食品HD(2897)、フジ・メディア・HD(4676)、博報堂DYHD(2433)、三洋電機(6764)、住友電気工業(5802)

◇決算・1−3月期決算:米ウォルマート・ストアーズ

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