まちまちだが、指数は上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年05月13日 08時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>8469.11△50.34

<NASDAQ>1715.92▼15.32

<為替:NY終値>96.43-96.49

まちまちだが、指数は上値の重い展開

 前日の大幅下落の反動もあってダウ平均は堅調となりましたが、金融株などの増資を嫌気する動きや26年ぶりの財政収支の赤字を嫌気してドルが売られたことなどから、景気回復期待は強いものの売りが優勢となりました。原油価格の上昇を好感した石油関連株やディフェンシブ銘柄などが堅調でダウ平均はプラスになりましたが、ネガティブな投資判断や自動車株の問題、先行きの景気回復をある程度織り込んだと見られていることなどから上値が重く、ナスダック指数は軟調となりました。

 景気底入れ感は強まり、原油価格などは上昇、金融不安や信用収縮懸念も薄らいでいるのですが、「次」の展開を模索する状況で指数も上値が重くなっています。売り叩く材料はなく、市場のセンチメントも好転しているのですが、積極的に買い上がるにはもう一つ二つ材料が欲しいということなのでしょう。破綻が懸念される自動車会社の幹部が自社株を売却していたことなども問題視され、新型インフルエンザの影響も懸念されるなかで急落懸念は薄いものの、積極的に買い上がるというよりは利益を確保しながら、と言う雰囲気になっているようです。

 個別には元副会長などの幹部が自社株を売却したと伝えられたGM(ゼネラルモーターズ)は大幅下落、投資判断を売りとされたアメリカンエクスプレスが軟調、増資を嫌気する動きで、JPモルガンチェースやシティグループ、バンクオブアメリカなど金融株が総じて軟調となりました。一方、ドル安の恩恵があることなどからコカコーラなどが買われ、原油価格や貴金属価格の上昇を受けてエクソンモービル、シェブロンといった石油株、ニューモントマイニングやモンサントなど金鉱株が軒並み上昇となって指数を下支えしました。

本日の相場

日経平均

 米国株安や円高、目先的な過熱感や達成感などから売り先行となり、大幅下落となりました。外国人も売り越し基調と伝えられたことで先物などにまとまった買いが見られても上値が限定的となりました。目先筋の見切り売りなどもかさみ、最後は上値の重さを嫌気して安値引けとなりました。節目と見られる9300円水準ではなんとか下げ止りましたが、上値の節目=9500円を確認する格好となりました。

 米国市場はまちまちとなりましたが、為替がドル安となったことで上値の重い展開となりそうです。昨日も連騰後の調整となり、決算発表がピークを迎えるなかで慌てて売り急がなければならないほどの材料もないのですが、まだ目先的な過熱感が強いなかでは積極的に買い上がり難いものと思います。ここまでの戻り相場を牽引してきたハイテク銘柄や自動車株などの輸出関連銘柄や金融株などから、出遅れ感の強い食品株や医薬品株などの出遅れ銘柄に物色対象が変化してはいるのですが、これらディフェンシブ銘柄の底上げが一段落するといったん押し目を確認することになりそうです。輸出関連銘柄の一服は続くものと思います。

 昨日は9300円水準で下げ止まったものの、安値引けとなりまだ下値を試す動きとなるのかもしれません。円高を嫌気する動きから輸出関連銘柄などが売られ、指数を下押すことになるのかもしれません。9100円前後も節目となっており、その水準や9000円を意識するところでは下げ止まるものと思われ、また、逆に為替の影響も限定的とされて買戻しなどが入ると再び9500円を意識するようなところまで買われることになるのでしょう。9100円台後半で買戻しを急ぐ動きが出て来るのかどうかが注目されます。

本日の注目点

◇白川日銀総裁が講演(ロンドン)

◇08年度と09年3月の国際収支(財務省)

◇4月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇4月のマネーストック(日銀)

◇4月の貸出・資金吸収動向(日銀)

◇4月の米小売売上高

◇決算・3月期:NTT(9432)、パイオニア(6773)、ニコン(7752)、アステラス製薬(4503)、国際石油開発帝石(1605)、三菱レイヨン(3404)、日立造船(7004)、ヤクルト本社(3367)、セガサミーHD(6460)、雪印乳業(2262)、大和ハウス工業(1925)、近畿日本鉄道(9041)、船井電機(6839)

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