米国で白熱化する、けっこう過激で、ちょっとえげつないスタバいじめ。しかし、その一方で、スターバックスの零落は、厳しい言葉でいえば自業自得である。「ライフスタイルブランド」としてのポジショニングを見事に確立し、「プレミアムコーヒー」というカテゴリーを開拓したスターバックス。しかし「利益追求主義」の果てに、エスプレッソ1杯に4ドルを払わせる本来の価値を失ってしまった。今夏、スターバックスは競合の追撃に対抗し、とうとう価格競争に参戦する。アイスコーヒーやアイスラテなどを対象に、30%程度の大幅割引に踏み切るという。
スターバックス批判は、コーヒードリンカーでもない私がするまでもない。会長のハワード・シュルツが、2007年2月に綴った公開メモに、その過ちが雄弁に語られている。
「スターバックスは効率と利益の名のもとに、コーヒーショップのロマンと体験を犠牲にした。(中略)そのルーツであった魂を捨て、温かみあふれる近所のお店ではなく、ただのチェーンに成り下がってしまった」(石塚訳)
顧客の期待を裏切り、夢を打ち壊したブランドが、その信頼を取り戻すことは容易でない。スターバックスの失敗には、誰もが学ぶべき痛い教訓が隠れている。(石塚しのぶ)
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