“ネットと政治”を考える(後編)――ネットユーザーが選挙でやれることとは?(6/9 ページ)

» 2009年05月05日 07時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

上から押し付けるWebサイト作りではいけない

 西村さんはいろんなネットメディアを立ち上げられているのですが、ネットと政治の関係についてご意見何かあるでしょうか?

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西村 オバマの選挙戦略には私も注目していて、2008年の暮れにTBSさんに来ていただいて、「米国のオバマ選挙、実際はどうなんだ」というテレビ番組のビデオも見させていただきました。見ると、若者たちが「自分はオバマを応援するんだ」ということで、ネットでもリアルでも仲間をどんどん引き連れて、選挙運動を活発化させていました。選挙運動の中で「自分はオバマを応援するんだ」と言ったら、悪い人にはもうなれないわけで、「そういうことで人間は前向きになっていくのかな」と思いました。

 「政治は上から与えたものを受け取ればいいんだ。君たちは投票すればいいんだ」というスタンスだと、どうしても悪口を言いたくなってしまいます。そうではなくて、参政権というのは投票だけではなくて、どっちの政策がいいのかとか、例えば後期高齢者医療制度に関しても「もちろんお年寄りには長生きしてほしいけど、借金抱えるのも嫌だよね。どっちがいいんだろう」ということを真剣に考えていくことだと思います。その中で日本の選挙も良くなるし、政治も良くなるし、リテラシーも上がるのではないでしょうか。政治家さんや政党のためにネット選挙を解禁するのではなくて、我々がネットを使って政治に参画するためにネット選挙を解禁してほしいという思いです。

 政治に無関心な人で今「関係ねえや」と言っていても、将来日本や自分がひどいことになった時に、「あのときの政治が(悪かった)。あの時の社会が(悪かった)」と人のせいにするようになったら良くないと思うのです。過去には(自分1人ではどうしようもなかったので)人のせいにしても良かったのでしょうが、我々は今ネットというメディアを持っているので、言いたいことを主張すればみんなを納得させて動かすこともできます。そういう意識を皆さんがお持ちになれば、日本もオバマの米国以上に良くなる可能性はあると思いますので、そういうことを目指して私どもはやっていきたいと思っています。

鈴木 それは本当に大事だと思います。今、僕は民主党の東京都連の幹事長をやっているのですが、5月末くらいに「東京ライブドットジェイピー」というWebサイトを立ち上げようと思っています。

 (西村さんと)同じ発想で、「今までの我々のWebサイトの作り方はプッシュ型、押し付け型だった」という反省があって、私もネット選挙解禁を唱える以上、そこも改めようと(考え直しました)。ここでは電子会議室を作って、客観的な情報を提供した上で、例えば救急がどうなっているとか、小児医療がどうなってるとか、どんどん議論を熟してもらうということにトライしてみようと思っています。

 僕は政治家というのはコミュニティエディターだと考えています。今のように複雑化していく社会、多様化していく社会、専門化していく社会の中で、すべてのことを知って、すべてのことについて答えを明確にマニフェストで出せるほど我々(政治家)はスーパーマンではありません。我々は不完全な存在だから、皆さんと一緒に何かを考えていく。だけど幹事役として、ディスカッションの場を設けたり、エディティングをやったりするというデモクラシーの形に変わっていくことを考えていきたいです。

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