コラム
» 2009年04月28日 14時09分 UPDATE

なぜ新入社員は期待ハズレなのか?

「今年の新入社員はイマイチだ」と感じてはいないだろうか。だからといって人事部や採用担当者を非難しても、何も始まらない。新入社員を期待ハズレに感じてしまう要因は、彼らにあるのではなく、受け入れ側に問題があるのかもしれない。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

1988年リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。人事専門誌・業界誌・一般誌などにも人事関連分野で多く取り上げられていただき、ラジオ番組のレギュラーを持っていたこともあります。京都大学教育学部卒。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 「今年の新入社員はイマイチだ」「ウチの採用はどうなってんの?」「ホント人事部は分かってないよな」――そんな声が聞こえて来る季節です。そう言いたくなる気持ちも分かるのですが、そんな見方をしてしまうときには、ふと新入社員の視点に立って自分たちを見てみたいものです。採用した人事部や採用担当のせいにしていても始まりませんし、採用された新入社員をイマイチだと決め付けていても何も変わりません。

 新入社員が期待はずれになってしまう最大の原因は、こっちが彼らにとって期待はずれだからだと思います。こっちというのは、受け入れた会社、組織、上司、先輩のこと。新入社員にしてみれば、期待に胸を膨らませて入ってきたのに、その期待とは全く違う状態であったり、期待に応えてくれそうになかったりすると、頑張る気も失せてしまいます。それが期待はずれな言動をさせている原因だと思うのです。

チームとグループは意味が違う

 最たるものが組織力の崩れ。チーム(明確にされた目的に向かって各々が役割を果たすだけでなく、シナジーを発揮している集団)というよりは、グループ(目的をあいまいにしたまま、それぞれが自分の範囲の中でのみ役割を果たしている集団)と言った方がよい組織力の低い会社や部署に入ったら、普通は自分の居場所を見つけるのに一苦労で、誰にどう声をかけていいかも分からないし、何よりもユルイ組織だから抜けやすい(帰りやすいし、辞めやすい)。

 チームとグループは意味が違うことを理解し、「チーム」を作ってその一員である状態を作ってから期待をしないと、その期待には応えてくれません。マンションの管理組合やできたてのサークルみたいな、緩い「グループ」の一員にあれをやってほしい、これができてほしいと期待しても無理なのと同じです。組織が「チーム」になっていないから、彼らは与えられた仕事を意気に感じないし、力を出し切ろうとしない。また先輩から影響を受けようと、吸収しようとしないわけです。(先輩達同士がそうでないから、その真似をしているのです)

 仕事や部署の理想形・目標を明確にする(ビジョン)、皆で大切にするルール・行動・言葉を決める(バリュー)、組織全体の動向や状況を分かりやすく共有する(オープンブック)、何でも言い合える関係と相互理解(オープンコミュニケーション)は、チームビルディングの基本で、これらをマネジャー中心にしっかり作らなければなりません。そうでない組織は、よっぽど立派な新人(緩い組織が彼を放置していても、勝手に頑張って育っていく人)でなければ、大体「期待はずれ」になっているのだと思います。

クレクレではテイクできない

 ギブ&テイクには順番があって、先に与えるのが肝要です。クレクレでは、いつまでもテイクできません。これと同じで、こっちが期待に応えているから、新入社員に「期待に応えろ」という資格があるというものです。こっちが期待に応えてないのに、一方的に新入社員に期待に応えろというのは無茶な話なんじゃないかと思います。

 「いやいや、そうやって甘やかすからいつまでも自立できないんだよ」「雇われる方が先に期待に応えるのが筋でしょ」という反論が聞こえてきそうですが、そんなこと言っていてはいつまでも定着しないし、育成もできないし、採用力もついてこないのです。新入社員のことを期待はずれだと感じたら、こっちのことをまずは反省すべきです。特に、組織力(チームになっているのか?)に着目して。(川口雅裕)

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