リースとローン、どっちが得?

» 2009年04月24日 07時00分 公開
[金児昭,ソフトバンククリエイティブ]

問題

 会社でコピー機を入れ替えることになりました。これまで使っていたものはリースでしたが、リースはローンとどう違うのでしょうか?

(1)これまではリースは費用になった

(2)リースには金利がかからない

(3)リースの会計上の取り扱いが変わってきた

(4)リースはローンのフランス語で、どちらも同じこと

答え

 これまでは、毎月のリース支払代金を費用として計上できましたが、ローンを組んで購入した場合は自分のもの(固定資産)になるので、減価償却しました。ここが大きな違いでした。しかし、平成20年4月以降、上場企業・大企業には、新リース会計基準が適用となり、今までのリース料にかわって減価償却するようになりました。(1)(3)が正解です。

解説:リース会計基準

 日本ではリースとローンには大きな違いがありました。ローンで購入したものは自分のもの(資産)ですが、リースで借りているものは他人のものだったのです。そのため他人の不動産を借りて使っている事務所の家賃が費用になるのと同じように、リース料金も支払った分だけ全額費用となっていました。そのため償却期間よりもリース期間を短くすれば、ローンで買うよりもリースのほうが節税効果があったのです。これは日本特有で、欧米では以前からリースは割賦販売つまりローンと同じ扱いでした。

 日本でも、平成20年4月より、大企業には新リース会計基準が適用されることとなり、貸借対照表に「リース資産」や「リース負債」を計上し、リース代金は、損益計算書に「減価償却費」と「支払利息」に分けて計上することになりました。中小企業は、所有権が移転しないリース契約の場合は、今まで通り賃貸借処理できます。

著者プロフィール:金児昭(かねこ・あきら)

 1936年、東京都生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業後、1961年、信越化学工業に入社。38年間、経理・財務の実務一筋。1992〜1999年、常務取締役(経理・財務、法務、資材担当)。現在、経済・金融・経営評論家。信越化学工業顧問。日本CFO(最高経理・財務責任者)協会最高顧問。30代で会計士試験に3度失敗。落ちっぱなしの公認会計士委員。

 主な著書に『これでわかった!バランス・シート』『「経理・財務」これでわかった!』(以上、PHP研究所)、『お父さんの社交ダンス』(モダン出版)、『私がほしかったダンス用語集』(中経出版)など多数。本書は106冊目。


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