景気動向への懸念は残るものの財務長官の発言で金融不安が薄らぎ大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年04月22日 08時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>7969.56△127.83

<NASDAQ>1643.85△35.64

<為替:NY終値>98.69-98.75

景気動向への懸念は残るものの財務長官の発言で金融不安が薄らぎ大幅高

 朝方発表になった大手建設機械の決算が芳しくなかったことなどから前日の地合いを引き継ぐかのような売り先行の始まりとなりました。ただ、売り一巡後は値ごろ感からの買戻しも入り、また、財務長官が多くの銀行の資本は十分に備わっていると発言したことなどから金融不安が薄れて銀行株などに買いが入り、大幅高となりました。いったん反発となると前日に大幅下落となっていただけに買戻しを急ぐ動きもあり、大幅上昇となりました。前日の下げ幅を全て取り戻すということはありませんでしたが、全体の底いて感が強まっていることを確認するような格好となりました。

 ダウ平均の8000ドル、ナスダック指数の1650と言う水準を抜け切れなかったことは何となく気になりますがとりあえず大幅反発となったところを見ると底入れ期待がなくなったということでもなさそうです。個別企業の決算は予想通り(?)芳しいものではないのですが、何とかショック安とまではいかず、想定の範囲内と言う感じです。銀行決算が好調なので逆に疑心暗鬼になっている面もあるのでしょうが、金融不安が薄れ信用収縮懸念が薄れれば金利が低い水準にあるだけに、景気底入れとなる可能性も高いものと思います。

 個別には朝方は前日の地合いを引き継いで軟調となっていたJPモルガンチェースやバンクオブアメリカなど金融株は財務長官の発言を受けて切り返して堅調、IBMやアップルなども前日の反動から堅調となりました。原油価格が反発となったことからエクソンモービルやシェブロンなど石油関連銘柄も高く、芳しくない決算を発表したキャタピラーも買い戻しや悪材料出尽くし感から堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅下落となったことや円高を嫌気して大幅安となりました。ほぼ全面安なのですが幕間つなぎとして電池関連銘柄など追加経済対策に絡む銘柄が物色され、ディフェンシブ銘柄の一角も値ごろ感から買い戻しが入り堅調となりました。大幅安とはなりましたが、底堅さが見られたことや物色対象に広がりが見られたことで悲壮感はそれほどなく、押し目を確認する動きとなりました。

 米国市場が反発となったことや為替が円安に振れたことから日本市場も反発が期待されます。個別企業の決算動向も「思ったほど悪くない」企業も散見され、また、政府の追加経済対策などが取りざたされており、買戻しも交えて堅調な展開となりそうです。一気に上値を追うには物色対象の広がり、市場参加者の広がりが必要であり、決算発表シーズン、ゴールデンウィークの前にはまだそういったところまでは期待出来ず、上値も限定的となって来そうです。輸出関連銘柄などの反発に加え、出遅れ感が強いディフェンシブ銘柄や経済対策関連として小売株の物色などが見られれば意外高の可能性もありそうです。

 戻りを試す展開となりそうですが、昨日の下げ幅を取り戻せるかどうかと言うところでしょう。まずは8800円台で引ければ良いという感じではないかと思います。8900円から9000円の上値が重くなっており、目先的にその水準を抜けるには為替がもう一段円安となるなどの支援材料が必要と言うことではないかと思います。ただ、下値も8500円から600円辺りでは堅そうであり、その水準をどちらに抜けて来るかが今後注目されるものと思います。本日は上値は8900円前後を抜けて来るかが注目され、上値の重さが気になりだすとヘッジ売りなどで上げ幅を縮小してまうことになるのでしょう。

本日の注目点

◇3月と08年度の貿易統計(財務省)

◇3月のスーパー売上高(日本チェーンストア協会)

◇2月の米FHFA住宅価格指数

◇決算・1−3月期:米モルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴ、ボーイング、マクドナルド

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