コラム
» 2009年04月21日 11時40分 UPDATE

松田雅央の時事日想:そこは地域のエコの中心地――ドイツのエネルギー・水道公社 (1/3)

電気・ガス・水道、さらには暖房給湯用の熱(温水)まで、地域の供給事業を一手に担うエネルギー・水道公社。公社がどのように環境への取り組みを進めているのか、カールスルーエ市エネルギー・水道公社を例に紹介しよう。

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及びヨーロッパの環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 電気・ガス・水道、さらには暖房給湯用の熱(温水)まで、地域の供給事業を一手に担うエネルギー・水道公社。以前は「技術公社」と呼ばれる自治体の部局だったが、1990年代の公共事業参入自由化に伴い、その多くが独立採算の企業へと体制を変えていった。

 →電気・ガス・水道まですべてお任せ!――ドイツのエネルギー・水道公社

 その結果、事業内容(すべての事業を手がけるか電気だけを扱うかなど)、事業規模(全国規模か自治体規模かなど)、運営主体(自治体が中心となる公社か私企業かなど)はすっかり多様化し、エネルギー・水道公社を一言で説明することが難しくなっている。そのため、「エネルギー・水道公社」という呼び方自体ふさわしくないのだが、ここでは主に筆者の住むカールスルーエ市エネルギー・水道公社(以下、公社)を扱うため、このまま話を進めたい。

 さて、各地のエネルギー・水道公社には組織形態がどうであれ地域の供給事業を担う者として共通した姿勢がある。それがエコだ。省エネ、環境保全の取り組み、再生可能エネルギー開発は社会の要請であり、消費者も積極的なエコへの貢献を期待している。公社が特に力を入れているのは以下の3分野だ。

1.環境に配慮した企業活動

2.消費者サービスとエコ啓蒙

3.再生可能エネルギーの開発と支援

 それぞれの内容について詳しく紹介しよう。

環境に配慮した企業活動

 公社では発電や送電の効率化など、本業であるエネルギー供給事業の環境改善活動を行っている。それに加え、環境負荷の低い作業用車両の利用促進、作業場の環境改善、廃棄物の減量、さらには社員食堂の環境改善まで企業活動全般について取り組んでおり、それらの結果を毎年環境報告書としてまとめている。

 ちなみに、2008年の環境報告書表紙(下写真)に刷られたロゴ「EMAS※(イーマス)」は欧州の環境マネジメント規格で、公社はこれを1995年に取得した。環境マネジメント規格として国際的にはISO14001が普及しているが、ドイツではEMASを重視する企業・団体が多い。EMASはISO14001に比べ環境報告書の作成、公証検証人による検証など要求が厳しく、次のような継続的な環境と安全の改善を求めている。

※EMAS=Eco-Management and Audit Scheme
  • 環境方針・環境計画・環境マネジメントシステムの確立
  • 内部監査の実施
  • 環境報告書の作成と公表
  • 公認環境検証人による環境報告書の検証

 公社の環境課はEMASの規定に基づき毎年環境報告書を作成し、環境と安全の目標を市民に示す「約束」として公表している。

ah_karusuru.jpg カールスルーエ市エネルギー・水道公社の環境報告書(2008年)
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