銀行の損失拡大懸念から信用不安が高まり大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年04月21日 08時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>7841.73▼289.60

<NASDAQ>1608.21▼64.86

<為替:NY終値>97.85-97.91

銀行の損失拡大懸念から信用不安が高まり大幅下落

 注目された大手銀行の決算は予想を上回ったものの、貸倒引当金が急増し、資産内容が悪化したことを嫌気し売り先行で始まり、銀行の損失がさらに拡大、追加の資本増強が必要になるとの指摘が報じられ金融株を中心に大幅下落となりました。銀行に対する懸念から信用不安も増大、原油価格が下落となるなど信用収縮の懸念も出て下げ幅を広げる要因となりました。M&A(企業の合併・買収)に絡む話題や表面上の銀行決算を見て、堅調な地合いとなるかと思われましたが、ここのところの戻り相場の反動もあって、悪材料に敏感に反応、大幅下落となりました。

 足元の業績面などからの懸念は薄らいだものの、過去の「負の遺産」の処理がまだまだ終わっていないということのようです。財務面からの不安が銀行に止まらず、大手電気や大手自動車会社など傘下にローン会社などを抱えている企業に対してもローンの焦げ付きと言う懸念が取りざたされたようです。金利は十分に低下しているわけですから、後は資金がどれだけ回転するか、雇用不安などが払拭されて景気の底堅さから焦げ付きが問題とならないくらいになるかどうかが、本格的な回復となるかどうかということにつながりそうです。

 個別には好決算を発表しながらも貸倒引当金の急増が嫌気されてバンクオブアメリカが大幅下落、銀行の損失が拡大する見通しと大手証券が示したこともあって、連れてJPモルガンチェースやシティグループも大幅下落となりました。また、ローンの焦げ付きが増大するとの懸念からGE(ゼネラルエレクトリック)やGM(ゼネラルモーターズ)も大幅下落、信用不安が増大したこと、信用収縮懸念からほぼ全面安となり、ダウ採用30銘柄は全てマイナスとなりました。IBMは引け後発表された決算で売上高が予想を下回ったことから時間外取引でも売られています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は上値の重い展開となりましたが、鉄鋼株や非鉄株などが大幅高となり、底堅い展開となりました。目先的な過熱感はまだ強いのですが、物色対象の広がりも見られ決算動向が明らかになるに連れ、悪抜け感もあって底堅くなって来るようです。米国でも決算もそれほど悪いものはなく安心感が出ているものと思います。為替は若干円高方向に振れてもハイテク銘柄などにも買いが入るものが見られ、底入れ感は徐々に強まっているようです。

 米国市場が大幅安となったことや為替が円高に振れたことから日本市場も軟調な展開が予想されます。昨日の相場で上値が重かったことである程度米国株安は織り込まれており、また、足元の決算動向などでも「思ったほど悪くない」決算となるものが多く、下値を売り叩くと言うよりは目先的な過熱感を冷ますような、押し目を確認するような展開になって来るのではないかと思います。ここのところ急騰していたような鉄鋼株などには戻り売りもかさむのでしょうし、輸出関連銘柄も円高を嫌気する動きも出て来るのでしょうが、ディフェンシブ銘柄などは出遅れ感もあり、相場の下支えになるのではないかと思います。

 日経平均は9000円の上値を確認する格好となってしまいそうです。今度は下値を確認することになりそうですが、まずは8700円から800円の水準を保てるかどうか、そして、その水準を割り込み大きな下落となっても、8500円から600円を保てるかどうかが注目されます。最終的には8200円から300円の水準を割り込みさえしなければこの戻り相場が続いていると見てもいいのでしょうし、それまでは昨年10月と今年の3月の「ダブルボトム」と見ておいていいものと思います。

本日の注目点

◇決算・1−3月期:米コカ・コーラ、キャタピラー、ヤフー、UAL

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